2023年のふたご座流星群が、まもなく見頃を迎えます。
毎年のように多くの流星が出現するふたご座流星群。しぶんぎ座流星群・ペルセウス座流星群とあわせて「三大流星群」とも呼ばれる流星群なので、名前を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
今年のふたご座流星群で予想される「1時間あたりの流星数」は、ここ数年のうちで最多。多くの流星を観察するチャンスです。
この記事では、絶好の観察条件といえる2023年のふたご座流星群を満喫するために知っておきたいお役立ち情報を紹介します。
見頃や1時間あたりの予想流星数、観測のポイントなどを解説しますので、ぜひ星空観察の参考にしてください。
2023年ふたご座流星群の見頃は、12月13日(水)から15日(金)の3夜となるでしょう。なかでも14日(木)の夜から15日(金)の明け方にかけて、一番の見頃を迎える予想です。また13日(水)と15日(金)の21時ごろ〜翌朝の5時ごろ(東京の場合)にも、それぞれ観測チャンスがあります。極大(活動のピーク)を迎えるのは、15日(金)の午前4時ごろの予想です。
流星の観察には、月明かりも影響します。2023年ふたご座流星群においては12月13日(水)に新月を迎えるため、月明かりの影響を受けることなく流星観測を楽しめる絶好の観察条件といえます。
1時間あたりに流れる流星数の予想は次のとおりです。
■1時間あたりの流星数(※空の暗い場所で観察した場合)
12月13日夜〜14日明け方:10個〜25個程度
12月14日21時〜0時ごろ:30個を上回る予想
12月15日0時〜3時ごろ:70個に達する可能性あり
12月15日夜〜16日明け方:15個〜20個程度
2023年は、ここ数年のうちで最も多い流星数となる予想です。この絶好の機会に、ぜひふたご座流星群の観測にチャレンジしてみてください。
年によって流星の出現数が大きく異なる流星群もあるなか、毎年ほぼ安定して多くの流星が出現するふたご座流星群。年間でも常に1・2を争う流星数を誇る流星群で、しぶんぎ座流星群・ペルセウス座流星群とあわせて「三大流星群」と呼ばれています。
ふたご座流星群の出現時期は、例年12月4日から17日ごろ。12月中旬に流星数が増加し、活動のピークとなる12月14日ごろの極大を過ぎた後は、流星数が急減する傾向にあります。2023年のふたご座流星群においても、12月14日(木)の極大日をはさんだ13日(水)から15日(金)までが観測の狙い目です。
今年のふたご座流星群の予想流星数は、近年で最多。「1時間あたりに見られる流星数は数個」という流星群も少なくないなか、観測条件によっては1時間に数十個もの流星を見られるチャンスです。
観測場所の星空指数(その日の夜空が天体観測に適しているかを表す指数)もチェックしつつ、ぜひ見頃を狙って観測してみてください。
■観測する時間
夕方から明け方まで流星の観測チャンスはありますが、好条件となるのは21時ごろから。放射点(※1)がほぼ天頂に位置する午前2時ごろには、真上から降ってくるように見える流れ星を観測できるでしょう。
■観測する方角
ひとつの方角に集中するのではなく、空を広く見渡しましょう。放射点を中心に四方八方へ放射状に飛び出すように流れて見える流星は、夜空のどこにでも出現します。一点ではなく空全体を眺めるほうが、より多くの流星を捉えやすくなります。
■観測する場所
観測に適しているのは、街明かりが少なく、空を広く見渡せる開放的な場所です。人工の明かりが多い場所では、明るさに邪魔をされて流星が見づらくなってしまいます。目が暗さに慣れるまでには時間がかかるため、最低でも15分間は観察を続けるようにしましょう。
■観測する方法
肉眼での観測が一番おすすめです。天体を拡大して見る望遠鏡は、流星のように広い範囲の現象の観測に適しているとはいえません。楽な姿勢で観測したいときは、背もたれの角度を調整できるイスや、上に寝転べるレジャーシートを用意するとよいでしょう。
真冬の天体観測になるので、防寒アイテムや暖かい飲み物なども準備しておくと安心です。
※1:流星群の流星が四方八方に流れるその中心となる点のことを「放射点」と呼びます。この放射点の高度が高くなるほど、流星の出現数が増えます。
ふたご座流星群の母天体は、1.43年の公転周期を持つ近地球小惑星フェートン(ファエトン)だと考えられています。
流星群の起源は「彗星活動によって放出されたダスト(ちり)」という説が一般的です。ふたご座流星群の母天体と考えられるフェートンは、過去に大量のダストを放出していたことが推定されています。
活動的小惑星に分類されているフェートンは「彗星と小惑星の中間的な特徴を持つ過渡的な天体」の可能性が高いといわれているものの、その起源や物質進化については解明されていません。
このように謎が残されているフェートンは、2024年に打ち上げ予定の『深宇宙探査技術実証機DESTINY+』によるフライバイ(※2)探査が計画されています。フライバイ探査では、詳細な地形の観測やフェートン近傍のダストの化学組織・質量などが調査される予定です。
探査によってフェートンの実態解明が進めば、フェートンとの関わりが深いふたご座流星群の起源も明らかになるかもしれませんね。
※2:探査機が惑星または惑星の衛星付近を通過することです。
月明かりの影響を受けない2023年ふたご座流星群は、絶好の観測チャンスといえます。流星観察は12月13日(水)〜15日(金)がおすすめで、一番の狙い目は12月14日(木)の夜〜15日(金)の明け方です。
地域ごとの星空指数(その日の夜空が天体観測に適しているかを表す指数)も参考に、好条件のタイミングを狙って観測しましょう。
12月中旬の夜間ともなると、厳しい冷え込みが予想されます。防寒対策を万全にして、星空観察を楽しんでください。
参考:国立天文台、AstroArts、深宇宙探査技術実証機DESTINY+