寒い季節のキャンプで楽しみなのが「焚き火」ですよね。体を温めることができるだけでなく、料理のレパートリーも増えて、リラックス効果なども期待できます。ただし、SNSなどを見ていると、焚き火のマナーを知らない人も少なくないようです。
焚き火は火を使うわけですから、マナーを守らないと大きなトラブルに発展することもあります。そこでここでは、焚き火を安全に楽しむために、最低限知っておくべき3つのマナーについて詳しく解説していきます。
焚き火のマナーについてご紹介する前に、なぜキャンプ場などでマナー違反をしてはいけないのかをお伝えしておきましょう。キャンプ場でマナーを守らなくてはいけない理由は、大きくわけて3つあります。
1.自然が破壊されキャンプに適さない場所になる
2.他の人に迷惑がかかるとトラブルになる
3.キャンプ場管理者の負担が増えて制約が増えていく
キャンプは自然の中で行うものですが、マナー違反が自然を壊してしまうことがあります。たとえば焚き火のために木の枝を切ったり、ゴミを放置したりすることで、自然環境はゆっくりと悪い方向に向かい、キャンプ場がキャンプに適さない場所になってしまいます。
また、キャンプ場では夜遅くまで騒いだり、大音量で音楽を流したりするのはマナー違反になりますが、それを無視すると周りのキャンパーさんに迷惑がかかります。その結果、険悪なムードになってしまい、キャンプを楽しめなくなるかもしれません。
そして、マナー違反はキャンプ場を管理している人の負担が増えます。あちこちにゴミを放置したら、管理人はそれを回収しなくてはいけませんし、夜遅くまで騒いでいる人がいたら、注意して回らなくてはいけなくなります。
その結果、暗黙の了解となっていたマナーを、キャンプ場の利用規約として明文化することになり、キャンプ場にさまざまな制約が増えていきます。それどころか、マナー違反対応に疲れて、キャンプ場そのものを閉鎖してしまうケースも珍しくありません。
マナー違反がキャンプから自由を奪っていきます
焚き火のマナーとして覚えておいてもらいたいのが、原則としてキャンプ場では直火で焚き火をしてはいけないということです。一部のキャンプ場では直火OKとしていますが、むしろそれは例外であり、特別な理由がない限り、焚き火台を使って焚き火を楽しむのがマナーです。
直火をすると芝生や地面にダメージを与えるというのが主な理由ですが、NGとしている理由はそれだけではありません。直火を許可した場合に、たくさんのキャンパーが燃え残った薪木を放置したり、後始末をせずにそのままの状態で帰ったりすることが増えたことも、直火を禁止する理由となっています。
このため、キャンプ場で焚き火をするときには、焚き火台を使用する必要がありますが、焚き火台だけでは芝生や地面へのダメージを抑えきることができません。ダメージを少しでも軽減するために、焚き火台の下には、必ず耐火シートを敷きましょう。
まれに直火OKのキャンプ場もありますが、そのようなキャンプ場でもすべてのエリアで直火OKとしているわけではありません。きちんと直火OKエリアを確認し、マナーを守って焚き火を楽しんでください。
焚き火をしたいなら焚き火台を持っていこう
ゴミの処分が面倒くさいからといって、焚き火でゴミを燃やす人がいますが、これもマナー違反です。焚き火は焼却炉ではないため、すべてのゴミを燃やしきることはできませんし、紙を燃やした場合には、紙が飛んでいき他のキャンパーに迷惑をかける可能性があります。
さらにプラスチックなどを燃やそうとすると、有害なガスが発生します。焚き火で燃やしていいのは、薪や木の枝などの自然物だけです。下記に該当するものは焚き火で処分するのではなく、正しい方法で処分してください。
・ダンボール
・紙
・生ゴミ
・ビニール
この他にも、乾燥していない枝なども避けましょう。水分を含んだ木の枝を燃やそうとすると煙が出てしまいますので、他の人に迷惑をかけることになります。お互い気持ちよくキャンプを楽しめるように、きちんとマナーを守って、燃やしていいものだけを燃やしましょう。
焚き火で生ゴミなどを燃やすのは絶対にNG
焚き火のマナーとして忘れられがちなのが、「就寝前に火を消しておく」ということです。お酒を飲んで、処理するのが面倒くさくなって放置するのは絶対にNGです。寝ている間に火の粉が飛んでいき、テントやタープに穴を開けたり、山火事を起こしたりする可能性があります。
消火の基本は薪の完全燃焼で、就寝時間の1時間前にすべて燃え尽きるように調整するのが理想です。ただし、慣れないうちはどれくらいで完全燃焼するのかわかりませんので、1時間前に消えなかった場合には、火消し壺を使って完全に消火させましょう。
火消し壺がない場合には、薪を水につけて消化してください。このとき、焚き火台に水をかけるのはNGです。水蒸気が発生して危険ですし、焚き火台が急激な温度変化により変形する可能性があります。水に浸した薪は再利用できませんので、キャンプ場の管理人に確認し、指示された方法で処分してください。
ちなみに完全燃焼した薪は「消し炭」と呼ばれる炭になり、翌朝に再利用できます。ただし、焚き火台に放置するのではなく、火消し壺に入れておく必要があります。火消し壺があると安全かつ効率よく焚き火を楽しめますので、持っていないという人は入手しておくことをおすすめします。
いずれにしても大事なのは、寝る前に完全に火を消すということです。安全に消火するためにも、キャンプでお酒を呑みすぎないことも頭に入れておいてください。
火消し壺などで火を消してから寝ること