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畑のトリセツ!「どうする!?豪雨対策、長雨・冷夏対策」

  • 2024年3月6日
  • NUKUMORE

野菜を育てるための“全天候型”菜園づくりのヒントを、4名の野菜のプロたちから伝授!ここでは野菜にとって大打撃となる豪雨、長雨、冷夏への対策を、わかりやすく解説していきます。

YD29_p28_main_1_1709522456 トマトの雨よけ栽培例。畝の脇にムギが植えてあり、畝はワラでマルチング。万全の備えだ。

豪雨対策

排水の工夫、土の団粒化を進めたい

昨今は、集中豪雨に襲われることがしばしば。土の流亡はその後の野菜づくりに大打撃となります。
何日も水が引かない畑は要注意。野菜は根腐れを起こし、病気も多発します。排水の工夫は必須です。
同時に、水はけと通気性のいい団粒構造の土づくりに努めましょう。

1. 明渠(めいきょ)、点穴(てんけつ)づくりで排水を改善

明渠と点穴は家庭菜園で容易にできる排水の工夫です。
明渠は排水目的で掘る溝で、雨水を畑の外に流します。
点穴は畑の通路などに掘る深さ30cm程度の穴。穴に水が集まり、畝と通路の過湿が軽減されます。雨後に水が溜まる場所や、土が締まっている場所に穴をあけます。

2. 通路にムギ類を植える

通路にムギ類を植えると水はけがよくなります。根を深くまで伸ばし、かたい地層にまで細かい穴を無数にあけるからです。
大雨でもサッと水が引き、通路がぬかるみにくくなります。野菜の生長も妨げられません。通路に草を生やすことでも同様のメリットが得られます。

3. 粘土質の畑では高畝+草マルチ

水はけが悪い粘土質の畑では、高畝を用意して畝の過湿を防ぎます。
ただ、高畝は大雨が降ると土が流れて崩れやすいのが難点。マルチフィルムや有機物マルチを利用して、畝が崩れるのを防ぎます。

雨が降らずに水不足になると、高い畝ほど乾燥しやすくなります。なおのことマルチフィルムや有機物マルチで保湿を図る必要があります。

4. 雨よけ栽培が奏功

雨を嫌うスイカやメロン、雨で実割れや病気が多発するトマトを育てる場合は、雨よけ栽培がおすすめです。
支柱とビニール資材を利用して畝に屋根を掛けておきます。
団粒構造の発達した土づくり、ムギ類の作付け、明渠や点穴づくり、マルチ栽培などの合わせワザで、豪雨や干ばつ、猛暑を乗り切りましょう。 YD29_p28_map_2_1709522616 粘土質の畑は高畝を利用
水はけが悪い粘土質の畑では、高めの畝をつくり、畝の通気と排水をよくする。高畝をつくることによって十分な“作土層”を確保できる。作土層とは、野菜が根を張る通気性のいい表層の部分のことで、深さ20cm程度あればほとんどの野菜は健全に育つ。
穴を掘ると水がしみ出てくるような地下水位の高い畑、また、浅い位置にかたく締まった耕盤層がある畑では、高畝を用意して作土層を確保するとよい。
YD29_p28_map_3_1709522642 畑に水が溜まらないよう明渠をつくる
緩やかな傾斜をつけた溝を掘り、雨水を畑の外に排水する。雨後に畑を観察し、地形の傾斜や水が溜まる場所を探して、明渠のラインを決める。明渠は埋まりやすいので、ときどきメンテナンスが必要。
YD29_p28_map_4_1709522660 注意!!
地下水位が高い畑では点穴掘りは逆効果!?
地下水位が高い畑では、点穴を掘ると水が湧くことがあります。水はけの改善どころか、大雨が降るたびに畑が水浸しになってしまいます。
周囲に畑よりも高い位置に水田や沼がある場合は要注意。深めの点穴を掘るのは控えます。明渠や高畝で土壌環境を整えるといいでしょう。 YD29_p28_map_5_1709522683

長雨・冷夏対策

YD29_p30_map_1_1709522782 通路にゴザを敷き、さらに木の板を飛び石のように置くアイデア。大雨の直後でも足元がぬかるまず、畑に入って野菜の世話ができる。通路の土を踏み固めてしまう心配もない。

光合成不足で野菜の生長が滞る

雨と曇天が続く冷夏の年は夏野菜の生育が悪くなります。日照不足で光合成が十分に行われないためです。
湿気が多く、根腐れや病虫害が出やすくなるのも心配です。土づくり、排水の改善、有機物マルチなども活用して、野菜が元気に根を張れる環境を整えましょう。

1. “土と野菜の活力剤”を利用する

長雨や低温で野菜の生長が滞るようなら、ストチュウ水や雑草発酵液の葉面散布で元気回復を図ります。
猛暑や豪雨で弱った野菜にもよく効き、生長を助けてくれます。

2. 長雨や台風シーズンの前に排水対策

雨が多くなるシーズンの前に、明渠や点穴をチェックし、畑に水が溜まらないようメンテナンスしておきます。
また、有機物マルチを利用している場合は、ワラなどをカサ増ししておきましょう。畝の過湿を防ぐほか、降雨時に泥はねが抑えられるため、病気のリスクが小さくなります。

【+α】異常気象に強い“垂直仕立て栽培”

垂直仕立て栽培は、道法正徳さんが推奨する栽培法。「異常気象の年ほど、垂直仕立て栽培のメリットを実感できます。通常栽培の結果と比べたら一目瞭然」と、道法さん。
本誌読者にも実践者が多く、この夏の猛暑にもかかわらず、好結果を伝えるレポートが集まっています。

ナスの垂直仕立て栽培例。無肥料栽培が基本で、すべての枝を1本の支柱に縛り上げて育てるのが特徴だ。収穫期間が長くなり、収量が増え、味や糖度がアップする。病虫害も出にくくなる。 YD29_p30_map_2_1709522866

猛暑、干ばつ、長雨、冷夏にも対応! 新 畑のトリセツ “全天候型”菜園づくりのヒント

2023年の夏は、全国的に猛暑と干ばつが続き、集中豪雨もありました。
そして、秋らしい秋は短く、急に冬に入った感があります。
野菜によっては育ちが絶不調で、病虫害に悩まされた方も多かったようです。
畑の準備や野菜のメンテナンス方法に新たな工夫を採り入れて、猛暑、干ばつ、大雨などに強い“全天候型の畑づくり”を目指しましょう。

*教えてくれるのは

YD29_p16_map_4_1709522947 竹内孝功さん YD29_p16_map_5_1709522961 三浦伸章さん YD29_p16_map_6_1709522972 田村吾郎さん YD29_p16_map_7_1709522982 毛呂陽子さん 他にも「野菜の根を守り育てるための新処方を紹介!」などは、別記事にて紹介しているので、合わせてご覧ください!
「野菜の値を守り育てるための・・・」の記事はこちらから

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