私は空を見るのが好きで、何気なく空を見上げることがよくあります。キャンプでは「観天望気」という技術があります。要するに空を見て天気を予想するテクニックです。プロの気象予報士のようなことはできませんが、日常生活にも役に立つと思います。なによりも自然に目を向けるテクニックとして今回お伝えしましょう。
イラスト:ほしのゆきこ
空を見上げると、今日は「雲が多いな」とか、「雲が早く流れているな」とか思うことがありませんか?
それが観天望気の第一歩です。
たとえば、「雲が多い」ということは、→「湿気が多い」 そして → 「雨の可能性が高くなる」と考えられます。
もう一つ。「雲が早く流れる」ということは、→「上空は風が強い」だから→「天気が変わりやすい」と考えるのです。
雲の形は「10雲形」といって、いろいろな種類があり、その雲の種類によってこれからどんな天気になるかが予測できます。詳細をここでは触れませんが、「雲の名前(高橋健司著、角川書店刊)」という雲の写真集や気象に関する本がいくつかありますので、くわしくはそちらを参考にしてください。
キャンプをするときは、地元の人のアドバイスを良く参考にします。
その地元の人が良く天気の特徴を知っているからです。
「あの山に雲がかかったら、2時間後に雨が降る」など、その土地ならではの経験に即したいろいろな情報を持っています。
夏は天候の急変に注意しましょう。その場所で雨が降っていなくても、川の上流で雨が降れば川の水かさが一気に増え出します。
西の空に黒い雲(雷雲)が出てきたり、湿気を感じるようになったり、少し冷たい風が吹き出したりしたら、夕立など集中豪雨の可能性があります。できるだけ早く活動をやめ、片づけをはじめることをおすすめします。
いまでは携帯電話も便利になって、「ピンポイント天気予報」などアウトドアでの情報収集が可能になりました。しかしながら、とてもアナログな観天望気を体得することも人間の「野性」を取り戻す意味で大事なことかもしれません。ぜひ、試してみてください。
(2007.8.2更新)
著者プロフィール
高瀬 宏樹 (たかせひろき)
日本キャンプ協会主幹(指導者養成、普及サービス事業担当)
日本全国を飛び回って、キャンプの魅力を人々に伝えたり、指導者の養成に取り組んでいる。休日は二人の息子達をパートナーに身近な自然のなかで、ささやかなアウトドアライフを実践している。