サイト内
ウェブ

見直したい伝統的食生活

  • 2005年10月1日

今、なぜ食育なの?

写真

5つの「こ食」が子どもを・・・。 孤食・個食・固食・粉食・小食

 2005年、食育基本法が成立しました。その背景には、日本の食をめぐる状況が、この約半世紀の間に劇的に変化したことがあります。
 まず、食事の質、内容自体の変化です。学校給食のパン食、牛乳が、日本人の舌を洋風の食事に親しませました。さらに、経済的発展を背景に、肉類、油っこいもの、甘いお菓子など、昔は特別な「ごちそう」であったものが、日常的に摂取されるようになり、生活習慣病の大幅な増加を招きました。ぜいたくすぎる食事が逆に現代人の健康を脅かすようになったのです。
 もうひとつは社会構造の変化です。まず、家族構成の変化が挙げられます。3世代、4世代が同居する大家族は消え、核家族が当たり前になりました。母親と子ども、あるいは子どもだけで食事をする家庭が増え、1人で孤独に食事を摂る「孤食」もありふれた光景となっています。一家団らんの場としての食卓は過去のものとなり、家庭内のコミュニケーションは希薄になって、家族の一体感は揺らぎ、子どもの心を不安定にする一因ともなっています。

家庭の食事ルールの崩壊

 また、コミュニケーションの希薄な家庭の中で、長く親から子へと受け継がれてきた食のルールや食文化も崩壊しつつあります。ご飯とおかずを一緒に食べて口の中で混ぜ合わせながら味わうという、当たり前の食べ方を知らない子どもが増えています。食事作法の基本中の基本である箸の持ち方すら知らない人間も半数に迫る勢いだといわれます。こうした作法や習慣などの伝承機能を失ってしまった家庭に代わって、ルールを伝承していくものが必要です。食育にはその役割も求められています。

食の安全性

写真

 さらに、産業構造の変化が挙げられます。工業化社会の発展の中で、農業・漁業は隔絶され、都会の人間には無縁の世界となってしまいました。しかし、農家の人々の苦労を知るため、あるいは自分の口に入る食の安全性を考えるため、農業の現場や、加工や流通の過程、それを取り締まる法律、食品表示のしくみ、貿易の割合など、食産業全体を知っておくことも大切です。
 最後に、環境問題の悪化があります。農業に利用される農薬や化学肥料などは土壌や水質を汚染し、それは巡り巡って、人間の元に戻ってきます。環境に負荷をかけない、サステイナブル(持続可能)な有機農法を応援するためには、高くても敢えて有機農産物を買うという、意識的な行動が求められています。そうした新たなモラル(道徳基準)づくりも、食育の大切な役割です。
 以上述べたように、現代はあらゆる層そしてあらゆる分野、地域社会から環境面、医療面、教育面から、食育は必要とされているのです。次回からは具体的に、「生活習慣病」「食の安全・安心」「環境保全」などの問題を取り上げてご紹介します。

 

食育指導者を育てる「食育アドバイザー養成講座

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。