ウオールマート社は第二の実験的スーパーセンターをデンバー北西部(オーロラ市)に2005年11月にオープンした。同センターは「グリーン」技術を駆使しエネルギー、資源、経営費節約を目的としている。同社の「グリーン」展開の第一号店はテキサス州マッキニー市であるがハイテクを利用した照明技術によって年間15,600ドルの節電を果している。資源の節約と経費の節約の相容れないと思われてきた両方の節約が実現する試みとして注目されている。
エクステリア(外装)
下の写真は、駐車場全体が水の流れとそれを集める場所に向けて傾斜設置されているため降雨時に駐車場に水が溢れたりすることなく駐車スペース間にある幾つかのエリアに貯め排水できる。
このシステムは土地の広さが条件であるが施設内のデザインが天候を考慮しているものとして参考になる。
インテリア(内装)
店舗の作りは太陽の光と熱を考慮したもので、この地域では強くなる夏の西日を店内に受けないように配慮されている。
環境保護を意識した設備.設計
全体的にみて言えることは、パイロット店としての功績は大きく、他の企業も続くべく考慮をするエコフレンドリー店舗の参考になるという意味で評価されるべきであるが、以下の点で戦略的な形のみを急いで作ったという感覚がないでもない。
ロケーション:所得・教育レベルと比例すると言われている健康、環境保護志向の強いエリアに建設されていない。理由としては、パイロット店として投資するにあたり不動産物件の広さと価格に予算が限られていたのか?客層を見るとエコフレンドリー設計だからこのウォールマートで買い物をしているという感じはなく従来の同社店舗と同様の格安商品のお店だからという印象が強く思えた。本来の格安商品目当ての客層地域であるだけとも理解できるがどうであろう。一機大きく聳える風力発電タワーは遠方からでも見ることができるが、私としては、これを数機立て近い将来の同店の周りでの小売店などの開発展開や宅地造成に至る電力供給システムを作ってはどうだろうかという考えが浮かんできた。
消費者ベネフィット:前述のような新エネルギー利用や建材の工夫による節エネルギーを強調しているが、それによって消費者にどのようなベネフィットがあるのだろうか。また、自社店だけのパイロットとせず、地域社会に新エネルギー利用や環境保護観念を教育する範囲まで事業の一環として伸ばしていったら、本当のパイオニア的力を持って地域貢献できるように思える。また、自治体との協調でリサイクルセンターを設置したり、リサイクル教育のクラスを開いたりするような展開を望みたい。
実質的有効性:店内天井から吊るされているファブリック送風菅(白色)は下部に穴が開いていて、そこから空気が出る仕組みになっていて画期的に思えるが、空気が出ている付近で流れがあるだけのように思え、店内全体の空調として潤滑な清浄効果や車や園芸部門のタイヤ、化学肥料などの匂いがその部門エリアに入るとかなり鼻を突く強さで残っていることを考えると改善の必要を感じさせられた。取扱商品そのものには他のウオールマート店との違いを見ることができなかった。
今後の展望として、自治体と協調したエコフレンドリー事業や企画の拡張、そして同社だけでなく他社との協調による同様の進展を望みたい。
■ 筆者紹介
小池清通…写真家。
コロラド在住24年、ロッキーの自然を撮り続け、自らもLOHASなライフスタイルを実践している。アメリカ人に引けをとらない体格だが、繊細な心の持ち主で、食に関する思いも深い。
来年春、日本で個展が計画されている。
http://www.usa-japan.com/nature/