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Vol.25 宮本英治さん
土に触れずして紅茶は語れない…自ら紅茶づくりを

  • 2014年4月11日

理想の紅茶に・・・・・

紅茶農園の新芽
紅茶農園の新芽
雪に覆われた茶畑
雪に覆われた茶畑
 紅茶と緑茶はお互い「お茶」であるのですが、実は製茶の過程で大きな違いがあって、同じようにつくることはできません。簡単に言えば「発酵」するのかしないのか、ということになります。理論上は同じ茶樹でつくることはできるのですが、ことはそう簡単にはいかないのが世の常です。
 一般に茶樹には中国種とアッサム種の2種類あり、緑茶(不発酵茶)用として中国種、紅茶(発酵茶)用のアッサム種に大別されます。緑茶をつくるには葉に含まれる酸化酵素の活動を停止して、葉緑素の分解を防いでやります。そのためにきれいな緑色が残ります。
 紅茶づくりの場合は発酵させないといけないので酸化酵素の活動を十分に行わせる必要があります。つまり葉緑素は分解されて、タンニンやクロロフィルと呼ばれる物質が酸化されちゃうので緑色から黒色へと変化していきます。

 2005年春、アッサム種を中心に、念願だった紅茶農園を開園した宮本さん。永田農法の永田照喜治先生に師事を仰ぎ、最初の紅茶の木を定植。現在は様々な栽培法にも取り組みながら、美味しい紅茶づくりのための研究を続けています。
 オーガニックですか?の問いに「ほとんど無肥料に近い状態で育てておりますが、全く使っていないとは言い切れませんので。(冬を越すために幼木は特に木を太く大きく育てるために基礎体力は必要なのです)農薬に関してもほとんど使用しておりません。しかし、消毒もしないのかとなると品質保持のために必要最小限の害虫対策は必要になることもあり得ます。実際使用していないのですけどね(笑)」と宮本さん。

自分で育てた茶葉でいれた紅茶
自分で育てた茶葉でいれた紅茶
様々な発酵条件を試しながら研究を続けている
様々な発酵条件を試しながら研究を続けている
 宮本さんが期待したとおり、たちこめる霧が茶葉をぬらして香りの成分を高め、寒暖差と雪は木を強く育み、自家栽培の茶葉を使った製品が完成しました。
 「苗木から定植して育ててきた幼木たち。冬厳しく雪が積もり、夏には草が生え、勾配がきつい。更に春の訪れが遅い上に秋が早く訪れるという状況下では、寒さに弱い紅茶専用茶樹の栽培は大きなリスクを伴います。果たしてこの地で育ってくれるのか不安もありましたが、寒さに弱いという宿命を乗り越え、無事に茶摘み〜製茶までたどり着くことができました。
 日頃の茶樹の手入れ、土壌の管理などきめ細かな手入れが欠かせません。本当の紅茶とはどのようなものなのか、その問いかけの答えを探しながら人生の半分を紅茶と共に過ごしてきました。
 土を耕し草を刈る。土壌も改良して水もやる。実際に畑に立ち作業していると紅茶畑が与えてくれたものは大きな財産として蓄積されているのではと、最近少しですが感じています」

 

新ブランドの紅茶「EIJI MIYAMOTO」
新ブランドの紅茶「EIJI MIYAMOTO」
 今年は、摘み取り時期や製法が異なる7商品で構成されるシリーズ「EIJI MIYAMOTO」を新ブランドとして発売。製茶工場の新設工事も動きだし、茶畑の規模も拡張して生産力アップを目指す宮本さん。
 「農業生産物は地産地消が良しとされる時代が到来した今、紅茶といえども、これだけの紅茶が日本でもつくることができるんだと消費者の皆様に誇りを持って召し上がっていただくことができる紅茶づくりが人生の夢。目指すのは国内最高峰より世界標準」宮本さんの挑戦はまだまだ続く。


 

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