サイト内
ウェブ

第4回 日本ASEANセンター ヘルス&ウェルネス展 突撃インタビュー
東南アジアの伝承医学に基づいた健康法や健康グッズが、ヨガ人気と共に今大きな注目の的。

  • 2006年5月1日
 

東南アジアの伝承医学に基づいた健康法や健康グッズが、ヨガ人気と共に今大きな注目の的。

日本ASEANセンター
ヘルス&ウェルネス展 突撃インタビュー

写真

日本ASEAN センター ヘルス&ウェルネス展開催

 東南アジアの伝承医学に基づいた健康法や健康グッズが、ヨガ人気と共に今大きな注目の的だ。対症療法的な西洋医学とは違い、生活の中で身近にある植物や素材を使って体を内と外から整える知恵は、日本のLOHAS層の女性に緩やかに受け入れられ始めている。こういった日本の健康志向・自然志向を見て、にわかにこの波をつかんで売り込む姿勢を見せているのが、東南アジア各国の地元の健康産業だ。

写真

 銀座にある日本アセアンセンターは、正式名称、東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター。ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの東南アジア各国の食品や、衣料、家具、雑貨などの物産を紹介し、貿易や観光による日本との交流を進める国際機関だ。今回ここで、LOHAS をテーマに健康関連商品をセレクトした「ヘルス&ウェルネス展」(5/17〜7/31)が開催されている。ちょうど日本企業との商談会があると聞き、お邪魔してきた。

写真

 出展企業は9カ国31社。伝統工芸品のようなテイストの手作り家具から、すぐに日本のドラッグストアに並びそうなアロマオイルまで、製造規模や商品の洗練度合いもさまざまな商品が並んでいる。一部の企業を除き、今回のイベントが初めての海外という担当者が多かった。

 

伝統的な植物性の素材を使ったカンボジアの生活の知恵が商品に

 そんな中、ひと際目を引いたのがカンボジアのセンチュール・ダンコール(Senteurs d. Angkor)社のブース。地場の植物原料を使った石けんや胡椒などの調味料や雑貨などが、非常に凝った手作りのパッケージに収まっていて、見た目も洗練されていてかわいらしい。

写真

担当のジョハナさんは、「ここにある商品は、商品の原料はもちろん、パッケージ原料、生産者、職人まで、本物のカンボジア生まれ(“Truly Cambodian”)なんです」とうれしそうに話してくれた。 農村の女性は、多くが生活の中で自然と竹細工や織物、染色をこなす技術を習得している。それを活かし、同社のデザインに基づいて、地元の原料を使い、女性たちがひとつひとつ手作りで商品パッケージを作っているのだという。その結果、商品ひとつひとつが竹やヤシを使った凝った意匠で包まれ、不思議な風合いを持ち、海外市場にも耐える商品に仕上がった。

写真

 「伝統的な植物性の素材を使った商品には、カンボジアの生活の知恵に基づくものです。また、農村の女性の暮らしの中の技術を生かし、彼女たちに仕事を与えられたことで、カンボジア全体に大きな貢献ができているのではないかと思います」と、ジョハナさん。ただ、海外進出によって利益を大きくすればいいのではない、めまぐるしい近代化の中で、取り残されつつある農村と女性たちと共に会社を育てていくことに意味がある。最近は国際空港にも出店し、日本人観光客のお土産品としても人気があるという同社の商品。日本の女性が、”Truly Cambodian”な自社商品を「カワイイ」と言って持ち帰ってくれることに、ジョハナさんは大きな希望を感じているという。

この製品が農村に仕事を作り、彼らの子どもに教育を授けることに

 ラオスから出展した、エカラク・ラオ・ギャラリー(EKKALAK LAO GALLERY)社のスーバナラスさんからも、手織りのシルクスカーフについて同じ話を聞くことができた。

写真

 今回が初めての海外出展でひどく緊張していたスーバナラスさんだが、生産者の話になった途端に言葉に力がこもった。「ラオスの農村はどうしようもなく貧しい。彼らを思うと非常に辛い気持ちになる。でも、この製品が農村に仕事を作り、彼らの子どもに教育を授けることを可能にするんです」。
 手に取ったスカーフは、デザインではまだ日本市場では難しいかもしれない。ただ、手織り独特の色、質感は、一度手に取ったら忘れがたい。日本の女性の自然派志向と、スーバナラスさんのデザインが折り合い、彼の商品が彼の思いとともに日本市場に入る日は近いだろう。

カワイイだけではない、植物の生命力、生活の技、自然と調和する知恵を

写真
写真

 記者は今回の商談会の様子に、東南アジアの出展企業の思いや商品の一層の充実に希望を持ったが、同じ様にひとつの不安を覚えていた。これらの商品もまた、日本の気まぐれなブームの中で消費され、捨てられていくだけに成り果てはしないだろうか。「○○に効く」「やせる」という機能性ばかりを求めて化粧品や健康食品を買う消費スタイルに慣れた日本の消費者は、きちんと商品からのライフスタイルの提案を読み取れるのだろうか。
 伝統的な植物性の素材を使ったカンボジアの生活の知恵が商品にカワイイだけではない、植物の生命力、生活の技、自然と調和する知恵をこの製品が農村に仕事を作り、彼らの子どもに教育を授けることに 東南アジアの伝承医療に基づくこれらの商品は、自分の体調を、食べ物、アロマ、マッサージなどを通じて日々の生活の中でコントロールしていくための知恵の結晶だ。残念ながら、日本人にも本来備わっていたはずのこういった知恵や感覚は、生活の西洋化とともに大きく後退してしまった。”Truly South-East Asian”(本物の東南アジア生まれ)な美しい商品とパッケージを手に取ったとき、「カワイイ」だけではない、その裏に込められた、植物の生命力、生活の技、自然と調和する知恵を感じ取り、自分のライフスタイルを振り返るきっかけにしてほしいと思う。東南アジアからも、ぜひ健康に生きるための知恵を体に蓄積させるライフスタイルを思い出させてくれる商品を、ぜひ日本に届けてほしい。そのメッセージを読み取るアンテナを私たちは持っているだろうか。LOHAS が単なるブームとして消費されつつあるのか、私たちの価値観に刻まれたのか、日本の消費者の成熟度が問われる日は近い。

ASEAN ヘルス&ウエルネス展

■ ASEAN ヘルス&ウエルネス展
【期間】2006年5月17日(水)〜7月31日(月)
午前9時30分〜午後5時30分 (休館: 土・日・祝日)
【場所】国際機関日本アセアンセンター 常設展示場
〒104-0061 東京都中央区銀座4-10-3 セントラルビル
(地下鉄「東銀座」駅より徒歩1分、「銀座駅」より徒歩5分)

■ ライター紹介
川良麗子(かわら・れいこ)

Profile

NPOローハスクラブ、ライター。東京都出身。大学卒業直後に発生した新潟県中越地震で、災害ボランティアとして100日間被災地で活動。地元の経済復興プロジェクトに参加する。その後、食・農業分野の専門出版社に就職。東北から九州の農村を駆け回る。退職後、オーガニック専門誌「オーガニック電話帳」の編集、WEB制作を経験。2006年より、NPOローハスクラブ監修「緑のgoo〜LOHAS」の取材活動のかたわら、「LOHASトレンドが生む地域活性」を仕事にするべく活動中。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。