夫との関係、義実家との付き合い、仕事やキャリア、ママ友などの人間関係……。毎日がんばって生きていると、悩みは尽きませんよね。そんなお悩みに、専門家がアドバイス。
今回は仕事復帰を考えているという「ニコ」さんのお悩みです。
◆相談者プロフィール
ニコ(40歳女性)
3人の子育て中の主婦です。
お悩み相談
40歳、子育て中の主婦です。2歳年下の夫は職業柄、仕事の休みの日(平日)以外はほとんど家にいません。
この10年間収入面は夫に頼り、私は3人の子どもをほぼ1人で育ててきました。
3人の子育てに追われる日々はとても充実していて、期間限定と割り切って楽しんでいましたが、自分のことをする時間はまったくありません。いつか、また仕事をして自分の人生を歩むことを望んでいました。
昨年、一番下の息子が幼稚園に入園したことをきっかけに、少しずつ自分のことを考えられるようになりました。
社会復帰したいと思っていたところ、過去に仕事をしていた職場から、議事録作成などの簡単な事務仕事を請け負うことができることになりました。小さなお仕事ですが、10年も子どもの相手をしてきた私にとって、社会復帰できたような気持ちがし、とても嬉しく感じていました。
しかし、問題が発生しました。
単純な事務作業でも私にはとても嬉しい仕事ですし、何よりせっかくいただいたお仕事をお断りしたくありません。でも、子どもの発熱やお迎えなどのささやかな事情でお断りしなければならないことが出てきたのです。
私にとっては大事な子育ての事情でも、いざ仕事の現場に復帰してみると、仕事を断る理由としては申し訳なく感じてしまいます。お断りする罪悪感を感じると同時に、子育てを足かせのように感じてしまう自分にも苦しさを感じる日々です。
それまではストレスなくやっていた絵本の読み聞かせの時間がなんだかもったいないものに思えてしまったり、子どもがやろうとしてくれたお手伝いを自分でやったほうが早いからと断ってしまったり、子育てに効率を求めるようになってしまいました。
夫は仕事が忙しく、日常的な子育てに参加していないので、子どもはまったく夫になついていません。夫の仕事が休みの日でも、寝かしつけなど一切頼ることができません。これまではこのような夫の事情には納得していたのに、そこにも不満を感じてしまいます。
私が仕事を始めたことによって、時間の制約や体力の限界などの現実的な問題が発生したのと同時に、不満や罪悪感など負の感情を抱えることが増えてしまいました。
何より大事なはずの子どもや家庭に、私自身が悪影響を及ぼしそうで怖いです…。
さまざまな想いを抱きしめながら、新しい生活に慣れて
お仕事の関係者も、あなたが幼いお子さんを育てていらっしゃることをご存知でしょう。やむを得ないお子さんの事情を優先することに気を遣い過ぎる必要はありません。
命や健康が何よりも大切。お子さんの病気や怪我の際には真っ先に対応すべきです。お子さんにとっての母親はあなただけ。
ご自身のお仕事に責任を持つことは大切です。しかし、あなたのお仕事に対応できるかたがほかにいるようであれば、あなたにしかできない母としての役割を優先させていただいてください。
罪悪感を抱くよりも、母業を優先させてくれる職場に感謝しましょう。
読み聞かせやお子さんのお手伝いを見守る時間を丁寧に過ごせなくなっているのは心苦しいことと思います。でも、自己嫌悪に陥らず、新しい環境に飛び込んだばかりの時期だからやむを得ないと割り切ってみてください。
さまざまな想いが湧くのも、母として社会で働くという新境地に踏み込んだ証。葛藤を抱きしめながら新生活に慣れていきましょう。
◆回答者プロフィール
海野 雪(うみの・ゆき)
上級心理カウンセラー(日本能力開発推進協会認定)、不登校児童対応アドバイザー(全国webカウンセリング協会認定)など、心理系・教育系を中心に多様な資格を有する。200名以上の相談対応実績あり。