更年期障害といえば、ホットフラッシュやイライラが有名ですよね。その他にも、手足がしびれたり動かしづらくなったりするのも、更年期障害のひとつ。更年期障害による手足のしびれへの対処法を、薬剤師の山形ゆかりさんに教えてもらいました。
更年期になると手足がしびれやすくなる原因を解説します。
また、手足のしびれ以外の代表的な更年期障害の症状もチェックしましょう。
更年期になると手足がしびれる原因は、皮膚が敏感になるからです。
更年期に入り女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が減少すると、皮膚が薄くなり乾燥しやすくなります。
その結果、皮膚が刺激に敏感になり、しびれを感じてしまうのです。
また、エストロゲンの不足によって自律神経が影響を受け、血流が悪くなることもあります。
これによって、手足のしびれだけではなく、手足の感覚が鈍くなる、皮膚の表面がピリピリする、手足が動かしづらくなるといった症状が出ることもあります。
手足のしびれや動かしづらさ以外の、代表的な更年期の症状は以下の通りです。
・頭痛やめまい
・物忘れが多くなる
・倦怠感が強く、家事や仕事へのやる気が出ない
・イライラする
・のぼせているのに手足が冷える
・発汗
・ドライマウスやドライアイ
・食欲不振
更年期になると、上記の症状を経験する女性が多いといわれています。
こういった症状はエストロゲンの不足が原因で、からだがエストロゲン不足に慣れることで次第におさまるでしょう。
ただし、日常生活に支障をきたすほど症状が強い場合は、我慢せずに婦人科や更年期外来を受診してくださいね。
手足がしびれると、更年期障害ではなく脳梗塞や脳出血を心配する人も多いのではないでしょうか。
更年期障害によるしびれと、脳梗塞や脳出血によるしびれの違いを解説します。
更年期障害による手足のしびれは、朝起きたときにこわばっていたり、短時間でおさまったりする場合がほとんどです。
一方、脳梗塞や脳出血の場合、左右どちらかの手足にしびれが起きる場合が多いといわれています。
また、手足のしびれだけではなく、顔半分が麻痺する、物が二重に見える、喋りづらいといった症状が出ることも多いようです。
手足のしびれだけではなく、上記のような症状がある場合は脳梗塞や脳出血の初期症状の可能性があるので、ただちに病院の救急を受診しましょう。
更年期障害による手足のしびれ対策を3つ紹介します。
更年期障害による手足のしびれは、エストロゲンの不足だけではなく血行不良が原因となっている可能性が高いと考えられます。
そのため、しびれている箇所をマッサージしたり、からだ全体を動かしたり、半身浴によって血行を促したりすることで改善するでしょう。
また、普段の食生活の栄養バランスを意識することも大切です。
バランスのいい食事を心がけ、ビタミンCやビタミンEも積極的に摂りましょう。
ビタミンCは血管を丈夫に保つ働きを持ち、柑橘類に多く含まれます。ビタミンEは血行を促進する働きを持ち、煎茶やナッツ類に多く含まれますよ。
手足のしびれがある部分を安静にすることで、症状がおさまることもあります。
テーピングや専用の固定具を使って、しびれる部分を固定しましょう。
ただし、きつくテーピングすると、血行が悪くなり症状が悪化する恐れがあるので注意してくださいね。
更年期は、女性ホルモンの影響で色々な不調を感じる方が多いですよね。
そのため、一つひとつの症状に対処するより根本の原因を解消して、健康なからだ作りにアプローチすることもおすすめです。
漢方薬なら、2つ以上の自然の生薬が含まれており、心とからだのバランスを回復させて更年期のさまざまな悩みに対処できるでしょう。
以下の3つは、更年期障害対策におすすめの漢方薬です。
・疎経活血湯(そけいかっけつとう):滞った血の流れを改善し、余分な水分を取り除くことで、しびれや関節痛、神経痛に働きかけます。
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):血の巡りをよくしてからだを温めることで、手足の冷えやしびれ、頭痛やめまいに働きかけます。
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):滞った気の巡りを整え、不安や緊張を和らげることで、喉のつかえ感や不眠、イライラ感に働きかけます。
このような漢方薬を服用することで、更年期障害の症状が少し楽になる可能性があります。
監修・文/薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター 山形ゆかり