毎年花粉症に悩まされているという方も多いですよね。花粉症の諸症状を予防する方法を薬剤師の山形ゆかりさんに教えてもらいました。
睡眠不足や栄養バランスの偏りで免疫力が低下すると、花粉症を発症しやすくなります。生活リズムを整え、食生活を意識して免疫機能を強化しましょう。
とくに、春は環境変化のストレスや寒暖差によって睡眠不足になりやすい季節です。睡眠前にはスマホやPCを見ないようにしたり、ぬるめのお湯で入浴したりして、睡眠の質を高めましょう。
食事は栄養バランスに注意しつつ、腸内環境を整えるよう意識しましょう。免疫細胞の7割は腸に存在しているため、腸内環境を整えることが免疫機能の強化につながります。ヨーグルトやみそといった発酵食品や、海藻や根菜を食べてくださいね。
花粉を家の中に持ち込まないようにしましょう。外出時は、ツルツルした素材の衣服を着て、衣服への花粉の付着を抑えましょう。マスクやメガネの着用も、からだへの花粉の侵入を防げますよ。
また、玄関に入る前に、しっかり花粉を払い落とすことも大切です。帰宅後はうがい手洗いだけではなく、洗顔もしてからだについた花粉を落としましょう。
花粉症の症状は「抗ヒスタミン薬」を飲むことで抑えられるでしょう。第1世代の抗ヒスタミン薬は、効き目が強いものの、眠気や口渇といった副作用が出やすいといわれています。「クロルフェニラミンマレイン酸塩」や「ジフェンヒドラミン塩酸塩」などの成分が該当します。
一方、第2世代の抗ヒスタミン薬は、第1世代に比べると効き目が緩やかですが、副作用が出づらいといわれています。「フェキソフェナジン塩酸塩」や「ロラタジン」などの成分が該当します。
どちらも副作用が絶対に出ないわけではないので、服用の際は薬剤師に相談しましょう。
「舌下(ぜっか)免疫療法」とは、アレルゲンを含む治療薬を舌の下に投与することで、花粉に対する免疫をつける治療法です。
現在はスギ花粉症とダニのアレルギー性鼻炎への適応があります。治療期間は数年かかりますが、初回以外は自宅で服用できます。
また、正しく治療することでアレルギー症状を治したり、長期にわたって症状を抑えたりする効果が期待できるでしょう。興味がある方は、耳鼻咽喉科の医師に相談してみてくださいね。
つらい花粉症の症状には、漢方薬によるケアという選択肢もあります。
花粉症対策には、鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの症状を抑える作用に加え、根本から改善するために「からだを温める」「水分の循環をよくする」「炎症を和らげる」「消化・吸収機能をよくして抵抗力を高める」といった漢方薬を選びましょう。
・小青竜湯(しょうせいりゅうとう):水分循環を促して余分な水を乾かし、くしゃみや咳、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎を改善します。
・辛夷清肺湯(しんいせいはいとう):鼻にたまった熱を冷やして炎症を抑えることで、鼻づまりの症状に働きかけます。
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*漢方薬は比較的安全だといわれていますが、きちんと合ったものでないと十分な効果を得られないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。どの漢方薬が適切か見極めるには、専門家のアドバイスに従いましょう。
山形ゆかり●薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ。症状・体質に合った漢方をスマホで相談、症状緩和と根本改善を目指す。