こんにちは、ズボラ系家事コツ研究員の小町ねずです。トマト缶を料理に使う時、すでにカットされている『カットトマト』をいつも使う、という方、意外と多いのでは?トマト缶には『カットトマト』と『ホールトマト』がありますが、どちらを選べばいいのでしょう?
「トマトがカットされているか・いないかの違いで、中身は同じでしょ?」と思いがちですが、実は味や食感に違いがあるんです!
料理上手は、両者の使い分けをしているのだとか。今回は、もっとトマト料理がおいしくなるトマト缶の使い分け方をご紹介します。
まずは生の状態で試食して、違いを比べてみることに。ラ・プレッツィオーザとプロッシモ、2種類のホールトマトとカットトマトを用意しました。
ホールトマトは、トマトの水煮が丸ごと入っています。軽い力でほぐれるくらい、果肉が柔らか。種がそのまま入っているため、後味に酸味が残ります。トマト本来の味わいが楽しめるタイプですね。
外側は甘く内側は酸味があるため、つぶして調理をすると味が均一になり、おいしく食べられます。
カットトマトはダイス状にカットしてあり、そのまま使えるのが長所です。果肉はホールトマトと比べるとしっかりめ。
種の大半は取り除かれているので酸味がマイルドで、後味に軽く甘みが残ります。トマトの青っぽい味が苦手な人は、こちらが好まれそうです。
ホールトマトとカットトマトで味や食感に違いがあるのは、トマトの品種が違うのが理由なのだとか。メーカーによって違いはありますが、両者では異なる品種が使われていることが多いようです。
パッケージを見ると、描かれているトマトが異なります。
ホールトマトに描かれているのは、細長いトマト。
これはサンマルツァーノ種などのトマトで、加工調理に適した品種なのだそう。じっくり加熱すると旨味が増すトマトが使われています。
カットトマトに描かれているのはお馴染みの丸いトマト。
果肉がしっかりしていて、フレッシュな味わいが特徴です。軽く火を通す料理や、冷製パスタやサラダなど「和えるだけ・かけるだけ」の料理に適しているようです。
これらの特徴から考えると、以下のように使い分けをするとおいしく作れるみたいですね。
ホールトマト→長く加熱する調理に
カットトマト→非加熱や短時間の加熱調理に
でも、どのくらい仕上がりに違いが出るのでしょうか?
同じ材料、同じ加熱時間で「鶏肉のトマト煮」を作り、味や食感に違いがあるか試食してみました。
加熱時間は約25分。使ったのは、生の試食で味の違いが大きかったラ・プレッツィオーザのトマト缶です。トマト缶の味が引き立つよう、味付けは最小限で作りました。
ホールトマトで作ったトマト煮は、果肉が崩れて滑らかな状態になりました。
味は加熱前後で変化あり!生のときにあった酸味が和らぎ、まろやかに変化。甘みが増して、トマトのコクを強く感じる仕上がりになりました。
さすが、煮込み料理が得意なトマト缶!
カットトマトの方は、煮込んでも果肉感が残りました。写真の◯が果肉です。食感には好みがありますが、煮溶けたホールトマトの方が煮込み料理らしい雰囲気ですね。
トマトの風味は少し控えめで、あっさりとした味わいです。トマト好きには物足りなく感じるかも……。
同じ時間煮込んだのに、水っぽさが出たのも気になりました。ホールトマトの煮込みと食べ比べると仕上がりに差があるのが分かります。
食べ比べて驚いたのが、生の状態と甘さが逆転したこと。ホールトマトの方が甘みが感じられる仕上がりになりました。カットトマトはじっくり煮込んでも甘みやコクに物足りなさが。
どちらもおいしく作れますが、煮込み料理の良さが出せるのはホールトマトの方と判明しました!
カットトマトの方は、スープやパスタソースなど非加熱や短時間の加熱調理に向いています。
最後に鍋に入れるのが調理のコツ。軽く加熱して仕上げると果肉感がしっかり残り、みずみずしい味わいが楽しめます。
ホールトマトとカットトマトの使い分けは必須ではありませんが、使い分ければもっとおいしい一皿が作れます。
トマト好きはより自分好みの味に、苦手な方はより食べやすい味に。トマト缶で料理を作るときに参考にしてみてくださいね!
写真・文/小町ねず ※暮らしニスタの記事を再編集して配信しています。