寒くなると、痔の症状が悪化する方は少なくありません。なぜ、冬になると痔が悪化してしまうのでしょうか。その理由と予防方法について、くわしくご紹介します。痔にお困りの方は必見ですよ!
もともとお尻は血行が悪く冷えやすい部位。冬になり気温が下がってさらに冷えることで、肛門のうっ血が進み、痔が悪化することがあるようです。
とくに、座りっぱなしや立ちっぱなしの姿勢が多い方は注意が必要です。肛門に負担がかかって血流が悪くなり、痔が悪化しやすくなるでしょう。
冬は夏よりも水を飲まない方が多いため、便秘になり痔が悪化してしまいます。
また、水分不足が原因で硬くなった便によって肛門が傷つき、痔になってしまう方もいるようです。
肛門を清潔に保ち、冷えを予防する入浴によって痔の悪化を防ぐことができます。40℃前後のお湯に10~15分浸かると血行もよくなるといわれています。
冷えを予防し、血行不良を防ぐためにも、毎日浴槽に入りましょう。
成人が1日に必要とする水分量は2.5Lだといわれています。意識的に水を飲むようにしましょう。
水やお茶を飲むだけではなく、スープや野菜からも水分を摂取することができます。
便秘がちな方や便が硬い方は、食物繊維も意識して摂りましょう。野菜や海藻類、ヨーグルトなどで便秘の解消が期待できます。
とくに、冬に旬を迎えるごぼうやブロッコリーを積極的に食べるのがおすすめです。
腸の働きをよくし、血行を促すためには適度な運動も必要です。
軽いウォーキングやストレッチを日課にしましょう。座りっぱなし、立ちっぱなしの仕事をしている方も、休憩時間に姿勢を変えることが大切です。
痔の悪化を防ぐためには、便秘がちな体質の改善を目指すことが重要です。排便をサポートする漢方薬の服用で、からだの内側から根本改善を目指すといいでしょう。
痔の対策には、「血行をよくして痔の原因となるうっ血をとる」「胃の動きをよくして便秘を改善する」「便の水分バランスを整えて自然な排便を促す」といった漢方薬を選びましょう。
・乙字湯(おつじとう):便が硬く、慢性的な便秘に悩む方におすすめ。血行をよくしてうっ血をとり、腫れや炎症を抑えます。
・麻子仁丸 (ましにんがん):水分不足でうさぎのふんのような便が出る方におすすめ。腸を潤し、便をやわらかくすることで便秘を解消します。
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*漢方薬は比較的安全だといわれていますが、きちんと合ったものでないと十分な効果を得られないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。どの漢方薬が適切か見極めるには、専門家のアドバイスに従いましょう。
山形ゆかり●薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ。症状・体質に合った漢方をスマホで相談、症状緩和と根本改善を目指す。