さすらいのボタニスト、ヤガメです。こんにちは。
植物が動物を喰らう……、なんという奇妙な現象でしょう。
食虫植物はそういった性質が老若男女に好かれ、
園芸の世界でもとくに若い世代に人気がある植物たちです。
ウツボカズラの仲間、ボルネオ島のキナバル山に固有の、
ネペンテス・ラジャという種は、
巨大な袋をつけることが知られています。
実はこの袋には、驚くべき秘密が隠されていたのです。
●腐って行く過程で少しずつ
食虫植物の中には、落とし穴方式で動物を捕らえる種類があります。
熱帯アジアに自生する、ウツボカズラの仲間は、その典型です。
中には、ラグビーボールほどの大きさの袋を作り、その中に落ちた動物から、養分を得ている種類もいます。
もっとも、それだけ大きな袋を作る種類でも、落ちた動物を酵素で分解する能力はありません。
動物の遺骸が腐って行く過程で、少しずつ養分を吸収しているのです。
●腐った果実のニオイにつられて……
ウツボカズラの中に、ネペンテス・ラジャという種類があります。
ボルネオ島のキナバル山に固有の種類で、巨大な袋をつけることが知られています。
実はこの袋には驚くべき秘密が隠されていたのです。
近年の研究で、この袋の一部から腐った果実のようなニオイが出ていることがわかったのです。
このニオイをエサだと思ってやってくるのはネズミの仲間。
ニオイをクンクン嗅いでいるうちに、ウンコをポロポロ……するわけです。
すると。
袋の中にそのウンコが落ちる。
植物にとっては万々歳。
養分が簡単に得られます。
●巨大な袋のオソロシイ仕組み
実はこの植物、さらに恐ろしいことをしでかしているのです。
まれに弱ったネズミが、ニオイにつられてやってくることがあります。
ネズミはそのまま、袋の中に落ちてしまいます。
袋の内側はツルツルしていて、一度落ちるとなかなか這い上がれません。
さらに袋の中には、雨水がたまっていることが多いのです。
そうすると、ネズミは中で溺死してしまいます。
こうしてネズミも、植物の餌食になるというわけです。
ネペンテス ラジャの持つ巨大な袋には、
便所と棺桶、両方の機能があったというお話。
なんだか自然って、ものすごいものですね。
●食虫人気再熱
食虫植物の人気は、近年再熱していて、
GreenSnapでも、たくさんの方が写真をアップされていました。
中でも、むっくーさんは、
素晴らしいコレクションを紹介されています。
たとえば、
ジャングルのような温室ですが、
ていねいに栽培に取り組まれている
様子が伺えます。
ベランダガーデナーにも、食虫植物のファンは多いようです。
食虫植物の代名詞といえば、ハエトリソウがあるでしょう。
初心者からベテランまで、
多くの方に栽培されているようです。
バニコさんのビジュアル系(?)の写真もよいですね。
まるでトラばさみのような怪しげな形をした葉は、なんとも奇妙であり、
植物とは思えないスピードで昆虫を捕らえる様は見ていて飽きません。
食虫植物と一口に言っても、12科19属600種程度あります。
動物のとらえ方も、落とし穴式、とりもち式、吸い込み式、挟み込み式などさまざま。
みなさんも、ぜひ、食虫植物を栽培してみませんか。