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Vol.99 南三陸ミシン工房 新工房竣工式へ

  • 2016年1月14日

 今回は、宮城県の南三陸町に住む女性たちが取り組んでいる「南三陸ミシン工房」の今までのことや、近況などについて書きたいと思います。南三陸ミシン工房は、東日本大震災で被災されたお母さん方が中心となって、ミシンを仕事や生きがいにしていくために、当時のボランティアの方々と共にスタートしました。活動当初は、全国からの寄付によって集められた家庭用ミシンや生地の端切れなどを使って、トートバックやティッシュケースを製作。メンバーのほとんどの方が仮設住宅に住みながら、日々の暮らしの合間に縫製し、週末になると集会所やカフェに集まって、ミシンの講習会や商品の発送などをしていました。

 やがて全国のさまざまな団体から注文を受けるようになったり、「おらほもあんだほもがんばっぺし!Bag」などのヒット商品も生まれ、活動が徐々に活発になっていくなかで、2013年12月、南三陸町の「歌津」という地域にひとつめの工房が完成します。ここでは家庭用ミシンに変わり、工業用ミシンがいくつも加わりました。

おらほもあんだほもがんばっぺし!Bag

 そして2015年の12月、早くもふたつめの工房が完成し、その記念すべき竣工式に僕も参加してきました。南三陸町を訪れるのは、ホテル観洋でライブをして以来、1年半ぶり。町は造成工事のため、訪れるたびに道が変わっているので、何度も迷いそうになりながら車を進めます。

 南三陸町を代表するもうひとつの地域「志津川」は、以前よりも盛り土の作業がかなり進んでいて、すっかり景観が変わっていました。10メートルほどの高さまで一気にかさ上げするのだそうです。津波に耐えうる街がこの上に出来ることになっていますが、正直、まだ相当な時間がかかりそうだなぁという印象でした。ちなみに志津川の市街地の区画整理は、今のところ2018年度には完了する予定なのだそうです。

志津川の市街地の区画整理

 志津川を北上して歌津に入り、南三陸ミシン工房へ。お母さん方は竣工式の食事の準備をしてくれていました。南三陸町はタコが非常に美味しいことで全国的にも有名。ちょうど到着した頃、初期からのメンバー・高橋かつ子さんがタコをまるまる一匹、大胆に茹でていました。そのほかにツブ貝、アワビ、ホヤ、牡蠣など、とれたての海の幸がいっぱい。イクラが乗ったはらこ飯(めし)や、鮭のちゃんちゃん焼きも美味しい!

竣工式の食事
(撮影:ここから一番下の写真まで 熊谷安利さん)

 この新工房の建設にあたっては、以前から南三陸ミシン工房とのお仕事を重ねている、ファッションブランド「ミナ ペルホネン」代表の皆川明さんの提案から始まりました。そして皆川さんが以前から交流のある建築家の中村好文さんが、工房の設計を担当されることに。出来上がったばかりの新工房は、東北の木材を使用した、無垢の木の香りが気持ちよく漂う空間。歌津の森が眺められるとても広々とした窓や、吹き抜けになっている1階を囲むようにして作られた2階部分の大量の収納スペースも特徴的です。

南三陸ミシン工房 新工房

 この日は東京から皆川明さんやミナ ペルホネンのスタッフの方々、建築家・中村好文さん、そして皆川さんと南三陸ミシン工房が出会うきっかけとなった「KENDAMA TOHOKU」プロジェクトのディレクターでもある、BEAMS創造研究所の南馬越一義さんなども駆けつけました。ミシン工房代表の熊谷安利さんの丁寧なご挨拶によって、僕もここまでの年月を振り返ることができました。

 震災の年の夏、僕は南三陸町のこの歌津にボランティアに入り、津波によって森に巻き込まれてしまった巨大な漁網を救い出す作業などに、ほんの数日間ではありますが携わらせてもらいました。その年の冬、都内で復興支援のシンポジウムに参加したおり、ミシン工房の前身プロジェクトによる作品に出会います。そしてすぐに、僕のライブツアーのグッズ製作をお願いすることに。あとで知ったのですが、それがお母さんたちの最初の外注のお仕事だったのです。

 この日は新しい工房のなかで、「南三陸ミシン工房のうた」などを歌わせてもらいました。震災からちょうど1年目の時期に、やはりこの歌津で歌わせてもらったことを思い出しました。お母さんたちにも喜んでもらえて、良かったです。

南三陸ミシン工房のうた

 皆川さんは寒いなか外に出て、工房の扉に時間をかけて大きな絵を描いていました。南三陸町のもうひとつの名産品であるワカメと、糸巻き、そして印象的な鳥の姿。この工房からたくさんの作品が、海を越える渡り鳥のように、お母さんたちの手から飛び立っていく姿を想像して、とても嬉しくなりました。

扉絵

 来年の春で震災からもう5年です。東北に、こんな風に頑張って活動を続けているお母さんたちがいること、これからも忘れないでいてほしいです。そしてこういった復興支援プロジェクトの商品を買ったり、現地に旅行に行ってみたり、クラウドファウンディングに参加したり、さまざまな支援の方法がありますので、今後もどうか東北に想いを寄せていてください。

 2014年の春に発売したチャリティ・ミニアルバム「南三陸ミシン工房のうた」も、おかげさまですべて完売し、先日まとまった金額を寄付させていただきました。これもCDを買ってくれたみなさんのおかげです。ありがとうございました。現在は再プレスを検討しているところです。ミシン工房の扉のひとつとして、音楽を通して工房の活動を知ってもらうお手伝いが、僕なりのスタンスで続けられたらと思っています。「おらほもあんだほもがんばっぺし!」

おらほもあんだほもがんばっぺし!




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