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Vol.93 鬼怒川の氾濫と、お米農家やまざきさんの田んぼ

  • 2015年10月8日

 僕の友人に「お米農家やまざき」として無農薬のお米を作り続けている山崎さん夫婦がいます。薬を使わない農法で自然と共存しながら、自力で除草をして、丁寧に育て上げたお米には定評があります。僕も自分で食べるほか、贈り物としても頻繁に購入したりしています。そんな山崎さんの田んぼは埼玉県と、もうひとつは茨城県常総市に広がっています。そうです、先日の鬼怒川の堤防決壊による被害が毎日のようにニュースで流れていた、あの街です。

 今回の水害は、縦の筋状の雲、「アウターバンド」とも呼ばれる線上降水帯が関東全域を襲ったことが原因とされています。長時間に渡り同じ地域に大雨をもたらし、各地で浸水が相次ぎました。鬼怒川は水位が上がったことはもちろん、やがて合流する利根川の水位も極限まで上がったことにより、そこでせき止められて逆流現象が起こったのでは、と言われているそうです。

稲刈り

 鬼怒川の東側にあった山崎さんの田んぼも、鬼怒川の氾濫の被害を受け、土のところから2メートル上まで浸水して、そのまま3日間ほど水に浸かってしまいました。もっと東側にある、鬼怒川と平行して流れる八間堀川や小貝川の方まで水は達したそうです。9月10日に堤防が決壊し、山崎さんたちが田んぼの様子をやっと見に行けたのは9月13日。水が引いた田んぼを見て驚いたのは、稲がすべて元の形のまま立っていたこと。それでも黄金色に輝く稲穂ではすでになく、泥によって全体的にくすんだ色に。浸水に耐えた稲穂のお米は、どんな味がするのでしょうか。

 僕はもともと、水害が起きる前から稲刈りのお手伝いに行こうと思っていました。けれど今回は、微力ながら復興のお手伝いという形で、あらためて田んぼに向かうことにしました。それが14日と15日の2日間。ほかにも山崎さんの友人が多数駆けつけました。常総の街は自衛隊や警察の車がたくさんいて、ところどころ通行止め。空にはTV局のヘリコプターがずっと飛び交っています。

 大多数の人は稲刈り作業。被害を受けたとはいえ、それでも商品化できる可能性は大いに残されています。「水に浸かっているあいだ、晴れた日が続いて水温が上がり、『春が来た』と思い込んで、根っこを出している稲があるのが気にかかる。」と、奥さんの山崎瑞弥さんは言います。2日目にさっそく穫れたてのお米を炊いてくれました。みんなで味を確かめます。いつものお米と変わらずとても美味しかったのですが、山崎さんは何度も噛み締めて、粘り気、食感、甘さなどを入念にチェックしていました。

収穫米

 僕は2日とも、稲刈りではなく、壊れてしまった巨大な乾燥機からすでに収穫していた稲を救出する作業にまわることに。機械のなかに身体ごと入り込んで外へ掻き出すのですが、狭いうえに複雑な構造をしていて足の置き場が難しく、かなり難儀しました。それでも2日目は集じん機を買ってきて、すべての稲を吸い出すことができたので良かったです。(そのまま集じん機は寄贈させてもらいました。)

集じん機

 それから5日後、僕は現在継続中のライブツアーに旅立ちます。松本市で行ったライブでは、フードユニット「つむぎや」の金子健一さんが、お客さんにお弁当を出してくれることになっていました。すると急遽、金子さんが山崎さんの新米をお弁当に使うことに。実は今回の水害の前に、3分の1の稲は刈り取っていて、たまたまそれを松本市のギャラリーで販売していたのです。5分付きの米を圧力釜でもちもちに炊いてくれたのですが、とっても美味しかったです!ライブのなかで、山崎さんの田んぼの現状と、貴重なお米を今日は食べていただいたということをお客さんに説明すると、皆さん深くうなずいてくれました。

「つむぎや」の弁当

 近年は地球温暖化による気候変動によって、海面水温が上がり、雨雲や台風が発生しやすくなっています。今年は赤道付近の海水温が上がって世界中に異常気象をもたらすエルニーニョ現象が起きたというのもありますが、この先も油断はできません。各地の堤防は100年に1度の大雨に耐えるというのが基準なのだそうですが、その大雨が頻繁に起こるような時代になってきてしまっているのです。もっともっと、この異常気象への対策に国が力を入れてほしいものです。

 山崎さんの田んぼは、稲の被害も相当なものですが、それ以上にトラクターやコンバインをはじめ、さまざまな農業用機械が浸水によって故障し、動かなくなってしまいました。経済面での打撃は、相当なものだと思います。もっとなにかできることはないかと思い、当面の僕のライブで募金を募ることにしました。皆さん、ぜひともご協力、よろしくお願いします!




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