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Vol.89 子育て漫画特集

  • 2015年8月6日

 今年の6月と7月のあいだ、僕が曲を書き下ろしたNHK みんなのうた「ウェイクアップ!パパ!」が放送されていました。歌っているのは、僕と現在7歳の佐藤徳之丞(とくのすけ)くん。イクメンを目指して子育てに励もうとするパパですが、いつも夜遅くまで仕事が忙しく、なかなか週末の朝は起きられません。そんなパパをなんとか起こして遊びにいこうとする子供と、パパのやり取りを楽しく描いた1曲。きたやまくみこさんの描くアニメーションもとっても可愛らしいです。その曲を収録したアルバム「Portable Tunes 2 -for kids&family-」がただいま発売中です!

Portable Tunes 2 -for kids&family-
(c) NHK/THREE IS A MAGIC NUMBER Inc.

 その歌でパパ役を演じた僕も、ちょうど一児の父になったばかり。もうすぐ息子は10ヶ月になろうとしていますが、日頃気になるのはやっぱり子育てのこと。そんなおり、いろんな友人に「子育て漫画」を薦められました。といっても、子育てハウツー本では決してありません。実際に漫画家の家庭に子供が生まれて、成長していくなかでの育児の日々を淡々と描いたものがほとんどです。そのいくつかを紹介したいと思います。

 まずひとつめは木下晋也・作「おやおやこども。」。脱力系のタッチで描かれる木下家の日常。妊娠から3歳までの息子さんとの日々が、お父さんの目線で1ヶ月ごとに分けて描かれています。のんびり屋のお父さん。赤ちゃんとの留守番のときにあれこれ戸惑ったり、お風呂のときの会話に悩んだり。お父さんになった実感も最初はいまいちで、子育てに対して不器用さが抜けず、どこか脇役の気分も付きまとうところ、男親なら誰でもそうだなぁと思います。

木下晋也・作「おやおやこども。」

 それでも2ヶ月でよく笑うようになり、4ヶ月で寝返りが打てるようになり、おすわり、ハイハイ、つかまり立ち、と成長を重ねるなかで、自然とお父さんも成長していきます。10ヶ月のときは、初めておじいちゃんおばあちゃんに赤ちゃんを預けて、夫婦ふたりきりでお出かけ。でも心配で買物にまったく集中できなくて、ソワソワしっぱなし、という光景も微笑ましいです。ちなみにこの「おやおやこども。」、こちらのページでも途中まで購読することができます。

 次は吉田戦車・作「まんが親」。こちらも出産から4歳までの娘さんとの日々。生まれてすぐの新生児用オムツから、1ヶ月経ったときにSサイズのオムツに買い替えるとき、「まだ新生児でいい!そんなに急いで成長しないでくれ!」と思うお父さんの気持ちに、おもわず吹き出しつつ、ものすごく共感しました。本当に子供の成長は早く、「まだまだ赤ちゃんでいてくれていいよ〜」と、時の流れに抗いたくなります。

吉田戦車・作「まんが親」

 触ってほしくないものに限って、高速でハイハイをしていって掴んで舐める、たしかにそうそう。ひとりで赤ちゃんを連れ出すときは、外食時に片手で食事出来るものを選ぶとか、ちょっとしたことで奥さんをいらだたせてしまったり、逆にイライラしてしまったり。「子育てあるある」満載。ちなみに奥さんの伊藤理佐さんも漫画家で「おかあさんの扉」という子育て漫画を同時期に描いているので、お父さん&お母さん目線の双方向で楽しめます。

 最後は東村アキコ・作「ママはテンパリスト」。「まさかこんなに大変な日々が待っていたとは。すんません正直、、、育児ナメてました。」で始まる、こちらはお母さん目線の作品。1歳から6歳までの息子「ごっちゃん」との日々が描かれていますが、とにかくはちゃめちゃで痛快な展開に、何度も爆笑してしまいました。

東村アキコ・作「ママはテンパリスト」

 なかなか断乳(授乳をやめる)ができなくて困っているお母さん。おっぱいにゴルゴ13のデューク東郷の顔を描いて恐怖を与えますが、なかなか動じません。しまいには近所中におっぱいを飲んでいることを言いふらす始末。ほかには、言い聞かすためにいろんなとんでもない嘘を付いたり、逆にごっちゃんに振り回され続けたり。

 今回紹介した作品は、やはりどれも漫画家の実体験というのが、私小説やエッセイとしての魅力になっていて、親近感が持てます。ミュージシャンである僕と一緒で、自宅に仕事場を置いている人がほとんどで、仕事の合間に寝顔を見に行ったり、赤ちゃんの甘い匂いを嗅いでみたり、やってることは一緒なんだなぁと思いました。

 子供が喋れるようになった後の、覚え立ての言葉を使ったやや支離滅裂なセリフが、内容をよりいっそう漫画らしくしていて、そこも子育て漫画の成功の秘訣かなと思いました。喋ってくれれば、泣いている理由も分かるようになって、少し子育ては楽になるそうです。うちの子も、徐々にそういう段階を踏んでいくわけですが、やっぱり嬉しくもあり切なくもあり、、、。そんな未練たらたらなお父さん1年生を、もう少し続けたいと思います。




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