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Vol.29 南三陸ミシン工房のおかあさんたち展

  • 2013年2月28日

 東日本大震災で被災した女性たちに仕事の機会を提供する、南三陸町の「ミシンでお仕事プロジェクト」については、この連載で何度か(Vol.4Vol.7Vol.8)取り上げました。震災後しばらくして、津波で家を失い仮設住宅などに住まわれているおかあさんたちが、全国からの支援で集まったミシンや生地を使って作品を作り始めました。僕は昨年のライブツアーでのグッズとして、このプロジェクトのエコバックなどを販売させてもらうことから始まり、昨年3月には現地におじゃまして歌を歌わせていただいたりもしました。

 そのプロジェクトは今、「南三陸ミシン工房」と名前を変え、精力的に活動しています。数々の被災地支援プロジェクトがあるなかで、女性を応援するという形ではどこよりも、今までの「支援」の域を超え「自立するビジネス」に発展していこうとしているプロジェクトではないでしょうか。実際に縫製の仕事をしていた方を中心に、外部のプロの指導も加え、お母さんたちはこの1年半でたくさん成長してきました。自分たちで検品作業を厳しく行ったり、定期的に勉強会を開くなど、数々の努力を重ねてきたそうです。

あんだもがんばっぺし!! Bag  現在、南三陸ミシン工房の主力商品となっているのが「あんだもがんばっぺし!! Bag」。東京・渋谷のLOFTをはじめいろいろなショップで展開されており、ヤフーショッピングではカバン部門デイリー売上1位に輝くなど、すぐに在庫切れになってしまうほどの人気のバッグだそうです。いろんな悲しみを乗り越えていこうとしているおかあさんたちに「あんだもがんばっぺし」と言われると、少しのことで悩んだりしている自分がちっぽけに思えるし、僕も仕事で忙しいときに眺めたりして、本当に励まされているのです。


 そんなおかあさんたちの今までの活動を伝える展覧会「南三陸ミシン工房のおかあさんたち展」が、3/8から3/11まで、銀座のGallery NOAH(ギャラリーノア)というところで開かれます。パネル展示やトーク、ミシンを習える時間、みんなでお茶をする「お茶っこ会」など、盛りだくさんの内容になるそうです。その展覧会に向けて、僕は南三陸工房のテーマソングを作ることになりました。会場に流れる音響についても、微力ながら協力させてもらうつもりです。

南三陸ミシン工房のおかあさんたち展

 そのテーマソングなどに使う素材を録音しにいこうと、今月のはじめ、再び南三陸に行ってきました。いつも仕事で使っている機材を持ち込んで、本格的にミシンの音をレコーディング。そう、これもいわゆる、僕の得意なフィールドレコーディングです。独特なシチュエーションだったので、ミシンを動かしてくれるおかあさんを少し緊張させてしまいました。録音したミシンのなかには、「きこえる・シンポジウム 2011 冬」でのお客さんなどの募金から提供させてもらった刺繍ミシンもあり、胸がジ〜ンとなりました。

 なにより、久しぶりにミシン工房のおかあさんたちに会えたのが嬉しかったです。でも皆さん、1年前とはミシンに対する眼差しが変わっていました。明らかに誰もが、しっかり前を向いてこれからの自分を探している、そんな感じがしました。対照的に「お茶っこ」するときの、方言飛び交うリラックスした姿も、とても良かったです。

 皆さんと一緒にミシンでバッグを縫ったり(前回に続き2回目なので、だいぶ上達!)、ご飯を食べたり、お話をさせてもらううちに、曲のアイデアも少しずつ膨らんでいきました。「南三陸ミシン工房のおかあさんたち展」の会場でも流れるので、ぜひ来ていただきたいです。そして「おかあさんたち」の活動をぜひ身近に感じてください。新作Bagの発表や、限定数ですが商品の販売もしているそうですよ。お待ちしています!




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