5年前から半年に一度ずつ全国各地で行っている音楽とエコのイベント「きこえる・シンポジウム」。今年の冬は東京のみの開催で、吉祥寺の「キチム」という会場にて、クリスマスイブの午後に行います。
トークゲストには「旅する八百屋」と銘打ち、レストラン・野外イベント等を通して、日本の有機農業生産者の支援や新たなオーガニック市場の開拓をされているwarmerwarmerの高橋一也さんと、進行役としてもはや準レギュラーとも言えるエディターの山村光春さんをお迎えします。「本当においしい野菜は"タネ"からオーガニック!?」をテーマに、昔から受け継がれてきた古来種で育てる農産物の話を中心にお話を伺います。
まずここで簡単に、種にまつわる話を書きたいと思います。現在スーパーで売られている農作物のほとんどが「F1品種」と呼ばれ、バイオテクノロジー技術から生まれた一代限りの種から作られています。つまりその野菜から種をとっても同じ姿形をした野菜は出来ず、再び一から種を購入しなければいけないのですが、品質はとても安定しており、大量生産に向いています。一方、自家採種・古来種などの種は、形がいびつだったり条件が整わないとうまく芽が出ないことも多いのですが、野菜本来の旨味がよりいっそう詰まっており、品種も実に多種多様です。
高橋さんはそんな昔ながらの種を守るため、そして全国の有機農業生産者の想いを伝えるために活動しています。以前はレストラン・キハチで調理師として働いたあと、自然食品を扱う小売店ナチュラルハウスで取締役などを経験されました。現在は、各地のイベント会場で生産者から仕入れた古来種の野菜を販売するほか、実際に全国の畑をまわって有機JAS認証の検査を行う仕事もされています。
その高橋さんが期間限定(今年の秋から2013年2月末まで)で開いているレストラン「OrganDo+W 種+食+農の研究所」に、先日おじゃましてきました。お店には、サンフランシスコでは大変有名なオーガニックレストラン「シェ・パニーズ」を経営し、オーガニックの考え方を全米に広めた女性シェフ、アリス・ウォーターさんのポスターが飾られていました。高橋さんはその方の生き方や哲学をとても尊敬しているそうです。
こちらで高橋さんの作ってくれた1日限定10食のランチを頂きました。そのメニューをご紹介しましょう。すべて古来種の野菜を使用しているとのことです。このときの味を思い出すだけで今もお腹がすいてくるのですが、とにかくおいしかったです。素材の味が自分の舌を通じてぐんぐん伝わってきました。みなさんもぜひ、お時間のあるときに食べに出かけてみてください。
●五寸人参を使ったひじき煮、赤ジャガイモ揚げ(上段左)
●八丈オクラと梅肉、鶴首かぼちゃと在来枝豆(こうじいらず)(上段中央)
●こだわり肉にしょうがたれ、緑ナスの塩炒め(上段左)
●福岡県の無農薬米のご飯(下段左)
●青紫蘇の実の醤油漬け(下段中央)
●冬瓜のお味噌汁(下段右)
種や野菜のことに関しては話し出すと止まらなくなるという高橋さんこの日も熱く語っていただきましたが、その続きは12月24日のシンポジウム当日にたっぷりとっておきましょう。この日は高橋さんに古来種の野菜を販売していただくだけでなく、それらを使ったkaonnさんによるフードもご用意しています。みなさんのご来場、お待ちしていま〜す。