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Vol.15 再生可能エネルギーの固定価格買取制度

  • 2012年8月2日

 太陽光、風力、バイオマス、地熱といった、再生可能エネルギーの固定価格買取制度が7/1から始まりました。菅直人元首相が「これを通すまでは総理をやめない」と明言し、最後の仕事として昨年8月にこの制度の発端である「再生可能エネルギー促進法」を成立させたのは、記憶に新しいところです。

再生可能エネルギーの固定価格買取制度」
 固定価格買取制度とは、家の屋根の太陽光発電などで発電して余った電力を、国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務づけるものです。高く買い取ってもらうことで、うちも太陽光パネルを屋根に付けようとか、我が社も新しいエネルギー事業に参入しようという風に、文字通り再生可能エネルギーを促進させるのが狙いです。

 かねてから経済発展と環境対策は相反するイメージがあります。ですが、再生可能エネルギーに投資をしていく人ほど経済的に有利な世の中になる、と考えれば、昨今のエネルギーに対する世の中の考え方からみてもこの制度のスタートはごく自然な流れと言えます。このまま火力発電に依存すれば、嵩み続ける燃料費に、加速するCO2排出と温暖化。原発はと言えばなおいっそうの危険を孕み、10万年規模の核のゴミをどうしても生み続けてしまいます。「省エネ」だけでなく「育エネ」への行動も必要なタイミングなのだと思います。

 固定価格で買い取る代わり、すべての家庭の電気料金にいくらか上乗せして、国民全体でこの政策を下支えすることになります。これは「再生可能エネルギー発電促進付加金(再エネ賦課金)」といいます。たしかに、導入には相当なお金がかかるし、僕もそうですが集合住宅に暮らしていると、一般の太陽光パネル設置はやはりまだ遠い世界。それでも電気料金という形で負担することで、自分もわずかながら再生可能エネルギーを広げる「育エネ」の行動に加わっているということになります。

 8月分の電気料金より再エネ賦課金の一般家庭での負担が始まります。ちなみに再生可能エネルギーが今の4倍になると、各家庭で1ヶ月150 円ほどの負担になるそうです。僕個人としては、150円はそんなに高くないなぁと思っています。

 先日ドイツのメルケル首相が、各国首脳が温室効果ガスの排出期限について早期に合意しなければ、地球温暖化は劇的なペースで加速すると警告しました。そのドイツでは、2002年から本格的にこの制度を実施。その後、再生可能エネルギーの割合が20%に増えました。

 普及するのはもちろん良いことです。しかし20%という割合になってくると、日本で言う再エネ賦課金に値する額もそれなりにあるわけで、各家庭の負担が各段に増えたことも事実です。一般家庭で年間200ユーロ(約2万円)くらいとか。それを考慮して、肝心の買取価格が以前より下がってきています。そうしたことをふまえ、固定価格制度に疑問を呈する人も多くいます。

 固定価格はあくまでも一定期間です。この制度が破綻せずにうまいこと長く続かなくては、自然エネルギーに参入した会社が安定せず、その会社に投資する人も減ってしまいます。自然エネルギーを何年までに何%という目標をよく聞きますが、近年はたいてい到達できず、そのたびにテンションやモチベーションがやや下がってしまいます。まずは目標云々よりも、自然エネルギーやこの制度って面白い、乗っかってみようという感覚が広く根付くがどうかが、普及の鍵のひとつだと思います。

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