前回に引き続き、南三陸町「ミシンでお仕事プロジェクト」のお母さんたちに実際に会いに行ったときの話をします。
一緒に参加させてもらったティッシュカバー作りが終わり、皆さんは片付けに入ります。次はミシンの贈呈式。昨年末に仙台と東京で行った「きこえる・シンポジウム 2011 冬」のときの義援金で、刺繍ミシンを提供させてもらいました。このミシンを使うと言葉を生地に縫い付けることが出来るので、それを個人的なメッセージとして入れたり、商品にも役立ててもらえればと思います。シンポジウムに参加してくれたお客さん、スタッフ、出演者のおかげでこうして提供することができました。皆さん、ありがとうございます!
そのあと別室にて、僕のミニライブを聴いていただきました。ここではいつもの曲のほかに「文房具の音」という、手でモノに触れるときのぬくもりや小さな贅沢について書いた曲も取り上げました。この曲を歌うときは必ず、お客さんの目の前でセロテープやホッチキスなどの音を鳴らしながら、機械でリズムを組み立てていきます。さらにそれに乗せて歌うという一風変わったスタイルを披露するのですが、あまりこういうことをやる人はいないので驚いてもらえることは多いです。
その曲のなかで、途中から文房具の音を、今日一日録り続けていたミシンの音に差し替え、歌詞も南三陸町のことに少し変えて歌いました。というのもミシンも文房具と同じように、実際に手で触れた人に小さなぬくもりや、ゼロからモノを生み出すという贅沢な時間を与えてくれる道具だと思うからです。それだけでなく端切れを縫ったり、支援物資をうまく着れるように繕ったりと、このプロジェクト起動の前から、ミシンは被災地での生活を手助けした貴重な道具だったと聞いています。そのことを少しでもいいから、歌にしてみたかったのです。
ライブ後もいろんな方々とお話ができました。涙ながらに今までのことを話してくださる方もいて、僕も思わずその背中に触れながら涙を堪えました。また、この日は「ふんばろう東日本支援プロジェクト」代表の西條剛央さんも偶然訪れていて、シンポジウムぶりに再会することができました。西條さんの近著はどちらも読みましたが、大変オススメです。
このプロジェクトは今、「南三陸ミシン工房」という新しい名前も付いて、頻繁に講習会を開きながら精力的に活動しています。それには各地からのボランティアの方々の協力も欠かせないのですが、現地では引き続きボランティアを募集しているとのことです。そして支援金も募集しています。詳しくはこちらをご覧ください。ツイッターでも頻繁に活動報告をしてくれています。僕もこれからも、グッズ制作を依頼したりしながら応援していきたいと思っています。