連載を始めてから震災復興支援について連続で書いてきましたが、ここは「緑のgoo」ということで、初めてエコについて書きたいと思います。そのなかでも、「Vol.1 はじめまして、ハルコです」で書いた通り環境映画については多く取り上げて行きたいので、さっそく今回は「地球にやさしい生活」という映画について。
地球にやさしい生活
ニューヨークに住む作家のコリン・ビーヴァンは妻と2歳になる娘との3人暮らし。突如、浪費を続ける生活から、環境にとことん優しい生活をしようと思い立ちます。住んでいるマンションの9階まで階段で上がるようにし、洗濯はバスタブを使って足でジャブジャブ。そのうちに電気をすべてシャットダウンして、毎晩キャンドルを灯して静かな夕食を。
食材は地産地消のパッケージ無しで仕入れようと決め、青空マーケットで地元の野菜を購入。その結果、NY近郊での農業への関心が高まり、家族で訪ねて食の恩恵を肌で感じてみたり。そのひとつひとつをブログ「NO IMPACT MAN(映画の原題)」に投稿し、またたく間に世界中で話題になりました。それは田舎でスローライフを送るのではなく、あえて都会の真ん中でというところに注目を浴びたのだと思います。
しかしいいことばかりではなく、生ゴミにミミズのコンポストを使ってみた結果、家の中に蠅が飛び交うようになったり、電気を使わない冷蔵庫のアイデアを取り入れて実践しても、あまり冷えなくて断念したりという、失敗や試行錯誤も多く出てきます。
実は何を隠そうこの僕も、一時期コンポストで生ゴミを再生することに奮闘して、見たこともないような大きな蠅を大量発生させてしまったことがあります。そのほかにも、失敗や小さな悩みも含めてコリンとは何かにつけて自分とかぶるところが多く、親近感を抱きました。
でも彼も僕も、初期衝動に駆られやすいと言えばそれまでですが、勢いでもいいから思い切り体を張って試してみるって、大事なことだと思うんです。いったん減らしてみれば、これは大事だけどこれはなくてもいいかな、という生活の「質」に気付けるし、これはこんなになくても良かったんだ、という「量」にも気付けます。また、個人の生活を自治体や国レベルに置き換えれば、ひとりの行動は決して無駄ではなく、指針として大切なことだと思います。事実、彼は家族を巻き込みながらいろんな実験を繰り返すことで、早くも1年後には大学で講義を開いたり、子供たちと体験教室を開くようになりました。
ただひとつ危惧するのは、些細なズッコケでも家族レベルだとちょっとした失敗談で終わるのが、国になると莫大な税金の無駄遣いになるということ。もちろん一国のリーダーが思い付きで常に行動するとは思えませんが、政策の方向性を切り替えるというのは本当に大変な作業です。それでももし革新的な環境政策を打ち出すリーダーが現れたら、少しの無駄遣いがあっても闇雲に非難せず、必要な失敗ととらえて応援したいと思います。そのための事業仕分けだと思いますし。
少し話が横道に逸れましたが、とにかく地球にIMPACTを与えず、自分や家族にあえてIMPACTを与えることで体感して、失敗を恐れず前に進む、そういうことってすごく大事なんだと思わせてくれる映画でした。