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このコンテンツは、地球・人間環境フォーラム発行の「グローバルネット」と提携して情報をお送りしています。

第8回 CSRの視点からの環境報告の拡張と信頼性確保

  • 2004年9月9日

このコンテンツは、「グローバルネット」から転載して情報をお送りしています。

CSRの視点からの環境報告の拡張と信頼性確保 中央大学教授 河野 正男

漸次増加する環境報告書発行企業

 企業はさまざまな媒体を使用して、その環境保全活動の成果を、社会に向かって公表している。この公表を環境報告と呼ぶことにする。環境報告の媒体としては、特別の報告書すなわち環境報告書の他に、ホームページ、年次報告書、営業報告書およびパンフレットなどの利用が考えられる。ここでは、環境報告書およびこれと同種の内容のものをホームページに掲載したものを、総称して環境報告書と呼び、この報告書に絞って議論することにしたい。

 わが国では、1990年代後半以降、環境報告書を発行する企業数が漸次増加している。環境省の調査では、1997年の169社から2002年には650社に達している(図-1)。内訳は上場企業が450社、従業員500人以上の非上場企業が200社である(「環境にやさしい企業行動調査」)。2003年には900社程度に達するものと推測されている。各種の企業による環境報告書の公表数の増加は、消費者、地域住民、従業員、取引先、金融機関あるいは行政機関などの利害関係者が企業の環境保全活動の成果を判断する上で、貴重な資料を提供するという意味で、望ましいことである。

CSR関連情報の公表

 2000年に入り、環境報告書に、企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility:CSR)分野の内容、すなわち労働慣行、人権、社会および倫理などに関わる情報を掲載する企業が増加し始めている。環境報告書ネットワークによれば、2002年には67社に達している(図—2、『研究会活動報告書(2001年度)—持続可能性報告書のあり方(CSRの観点から)、電子媒体での環境情報の発信』)。大半は国際的活動を行っている企業である。欧米におけるCSRや社会的責任投資(Social Responsi-ble Investment:SRI)への関心の高まりを考慮に入れた対応と思われる。環境分野およびCSR分野に加えて、経済分野の情報を公表する企業もみられる。かくして、環境分野以外に、CSR分野や経済分野の情報の公表を行っている企業は、その報告書の名称を、環境報告書から社会・環境報告書、社会的責任報告書、環境経営報告書あるいは持続可能性報告書などと変更している。これらの報告書を総称して社会・環境報告書と呼ぶことにする。

 社会・環境報告書を含めて環境報告書の発行企業数が近未来には1,000社に達することが予想されるとき、その利用者にとっての最大の関心事は、公表された情報の信頼性と比較可能性である。

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