『就活をひとつひとつ』シリーズは、累計980万部突破のロングセラー参考書「ひとつひとつわかりやすく。」シリーズの「就活版」。自己分析、面接、インターンシップ、SPI対策まで、シリーズ全7冊を展開しています。
今回は『SPI3 構造的把握力検査をひとつひとつわかりやすく。』より、「説明の種類」の問題と解説を紹介。この問題、あなたは解けますか?
【構造的把握力検査とは?】
リクルート・マネジメント・ソリューションズ社が全国各地のテストセンターにおいて、10年ほど前から実施しているコンピュータテスト。ものごとの背後にある共通性や関係性を、 構造的に把握する力を測定する。
この能力は、情報を俯瞰(ふかん) 的に捉えて自分なりに分類・整理したり、未知の問題を過去の経験と関係づけて理解した上で、すでに獲得している知識を応用して対応策を考えたりするのに必要な力ということができる。
次のア〜オを、指示に従ってP(2 つ)とQ(3 つ)に分類するとき、P に分類されるものはどれか。下の選択肢A〜Jで答えなさい。
【指示】ア〜オはいずれもオオカミに関する記述である。その説明のしかたの違いによって、P とQ の2 つのグループに分けなさい。
ア オオカミについての最も古い文字記録がある「古風土記逸文(こふどきいつぶん)」では
大口真神(おおくちのまかみ)と書かれていて、信仰の対象であったことがわかる。
イ オオカミが登場する「赤ずきん」はグリム童話として知られているが、実はグリム兄弟以前に詩人のシャルル・ペローが民話をもとに創作したものである。
ウ オオカミには自分のテリトリーに侵入した他の動物を警戒して、その後をしばらくついて回るという習性がある。
エ 絶滅したニホンオオカミは、更新世に日本列島にすでに存在した大型オオカミと氷河期後期にユーラシア大陸から渡ってきたオオカミが交雑し、適応進化したものである。
オ オオカミの絶滅で崩れた生態系のバランスを取り戻すため、アメリカのイエローストーン公園ではオオカミの再導入が試みられている。
【選択肢】
A:アとイ B:アとウ C:アとエ D:アとオ
E:イとウ F:イとエ G:イとオ H:ウとエ
I :ウとオ J:エとオ
【目の付けどころ】説明する対象
オオカミについての説明をどのような観点で分類するか難しいが、オオカミという対象そのものを説明しているか、あるいはオオカミと関連していることがらについての説明か考えてみるとよい。
解答:H
すぐ目につくのは、エとオがオオカミの絶滅に関連している文だということです。確かに、かつて本州、四国、九州に生息していた肉食哺乳類のオオカミは、ヒトに追われ20 世紀初頭に絶滅したことが知られています。また、アメリカオオカミもすでに野生絶滅していて、オの説明にあるように再導入が試みられていますが、射殺されたり車に轢かれたりして死亡する個体が多く、成功しているとはいえない状態です。では、この2 つと他の3 つに分けられるかというと、もう少し内容を精査する必要があります。
ア 古い文献の中にオオカミを神としていた記述があるということです。これはオオカミという生物そのものの説明ではなく、オオカミを人間がどのように見ていたかということを意味します。
イ 「赤ずきん」という誰でも知っている童話を誰が最初に書いたかという文です。もちろんこれもオオカミそのものの説明ではありません。
ウ オオカミという動物の習性を示したもので、ア、イとは明らかに異なる説明のしかただといえるでしょう。
エ ニホンオオカミの起源について書かれた文で、実はこの内容はDNA を分析してわかった最新の研究結果です。ですが文の内容の正誤がわからなくとも、この検査では各文の構造が把握できればよいのです。エは、オオカミという動物そのものの説明ととらえられます。
オ アメリカでの「オオカミの再導入」というあまり知られていない話です。これだけ見ると判断に迷いますが、生態系を戻そうと試みているのは人間です。
アとイがオオカミと人との関係、ウとエがオオカミという動物そのものの説明とみると、ア、イと同じグループに入れるのが適当だと思われます。
以上から、ウとエが同じグループで、他はオオカミと人とのかかわり合いに関する文と判断できます。
【書籍紹介】
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