国内にクラフトジン蒸留所が続々誕生したり、缶のジンソーダやトニックが発売されたりと、ついにジンの時代が到来。そこで今回は、「タツジン」のお二人に、ジンの歴史や、なぜ日本でジンがブームなのかについて、じっくりお話を伺った。
【私たちがレクチャーします!】
アンドスピリッツ代表・黒田亜衣さん
酒販店兼バーや輸入卸を行う「アンドスピリッツ」を創業。昨年、日本人初となるウイスキーの国際資格「MASTER OF SCOTCH」を取得。
&SPIRITS ヘッドバーテンダー・中島大渡さん
新宿生まれサイパン育ち。新宿ゴールデン街「民藝酒房 SUZUBAR」の店長兼バーテンダーを経て現職に。ラムコンシェルジュ。
17世紀のオランダをルーツとし、イギリスで流行。19世紀にクリアで辛口のロンドンドライジンが生まれ、全世界へ広まったとされるのが近現代におけるジンの歴史だ。では、なぜいま日本で支持されるようになったのか。
「まず欧州でクラフトジンが流行。その熱が日本に伝播し、いまの和製クラフトジンの勃興につながりました」(黒田さん)
欧州でクラフトジンの革命が起きたのは2008年。
「ドイツの『モンキー47』がイノベーションを起こし、ロンドンの『シップスミス』がそれをアップデート。革新の息吹はいまから約10年前に日本にも広がり、14年にクラフトジン蒸留所が京都に誕生。そこからゆず、山椒などを使った『季の美 京都ドライジン』が16年に登場し話題になりました」(中島さん)
ジンの蒸留所が増えている背景には、参入のしやすさもある。
「例えば、ウイスキーは数年の樽熟成が絶対条件ですから、販売開始まで時間がかかりますし、樽と熟成庫も必要です。一方、熟成が不要なジンは比較的短期間かつ少ない資本で製造できます。そのため、若いつくり手も多いんですよ」(黒田さん)
「季の美」と双璧をなす、海外で人気のクラフトジンが17年にデビューした「ROKU〈六〉」だと中島さん。手掛けるサントリーは日本を代表する酒類メーカーであり、功績は計り知れないとも。
「その後20年に同じくサントリーから誕生したのが『翠(SUI)』です。品質の高さもさることながら、ソーダ割りでフードペアリングを推奨する飲み方提案が秀逸でしたね。そして22年発売の『翠ジンソーダ缶』が、トレンドを決定づけました」(中島さん)
ジンに欠かせないボタニカルがジュニパーベリー(西洋ねずの実)。ジンの語源もジュニパーに由来し、熟した果実を乾燥させスパイスとして利用する。ウッディーでビターな甘みのある香りが特徴だ。
ジンは、ジュニパーベリーで香りづけさえしていれば、それ以外はどんなボタニカルを使ってもOKという自由な酒。なかには象の糞から取り出したボタニカルを使った商品(「インドラブジン」)も!
使用する素材が自由であるため、酒かすやコーヒーかすなどの二次利用素材、規格外の果実や野菜などを使うブランドが多数存在。リユースボトルを積極採用するブランド「REUNION(リユニオン)」などもある。
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&SPIRITS
アンドスピリッツが運営。450種以上の蒸留酒が揃い、1階がバーで、地下が酒販店となっている。同社は、東京・丸ビル1階では蒸留酒と日本酒の業態も展開。所在地:東京都目黒区上目黒1−14−6 メゾンベルウッド 1F/B1F
営業時間:12:00〜23:00
定休日:なし