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叶 匠壽庵が手がける和菓子の桃源郷、滋賀・大津の里山「寿長生の郷」へ

  • 2024年5月29日
  • ことりっぷ


琵琶湖から唯一流れ出る瀬田川を下ると、やがて日本の原風景に抱かれた里山が目の前に。その自然豊かな丘陵地に、叶 匠壽庵(かのう しょうじゅあん)が手がける「寿長生の郷(すないのさと)」が広がります。野山を散策しながら、あんみつなどの和甘味やお抹茶で一息ついたり、また6月中旬から7月初旬にかけては梅の収穫体験もできるそう。この夏は、山あいにたたずむ和菓子の郷を訪ねてみませんか。
「寿長生の郷」へは、JR石山駅から車で約30分。駅からはシャトルバスも出ているので、車がなくても気軽に訪れることができます。
「お菓子の原点は農にあり」という考えから、山を開墾し和菓子の原材料を育てるという、とてつもない計画が形になったのは約40年前のこと。今では、6万3000坪にもおよぶ広大な敷地で、材料を育て、お菓子を作り、それを味わうことができる場として地元で親しまれています。
自然の地形を生かしたさんぽ道に沿って、野の花を楽しみながら進むと、やがて一面の梅林が広がります。2月から3月にかけて花を咲かせた梅が実をつけるのは梅雨の時期。城州白(じょうしゅうはく)という大粒の梅からは桃のような香りがふわりと漂います。
収穫された梅は、叶 匠壽庵の和菓子や梅酒などの材料となるそう。収穫体験で摘んだ実は、持ち帰って梅酒や梅ジャム、梅干しにしてくださいね。
苑内には、散策途中にほっと一息つけるスポットがいくつかあります。そのひとつ、「梅窓庵(ばいそうあん)」は、梅林が目の前に広がるお食事&甘味処。立派な長屋門をくぐり、菓子売場を通り抜けた先にあります。
梅窓庵で味わいたいのは、和甘味の王道ともいえる「抹茶クリームあんみつ」。抹茶・ほうじ茶・白寒天に、皮が薄く口当たりのよい大納言小豆の餡や白玉、季節のフルーツ、抹茶アイスクリームが添えられており、あっさりとした白蜜でいただきます。
梅窓庵では、甘味だけでなく滋賀の名物を使った食事も楽しめます。「梅おろし蕎麦」は、滋賀県の伊吹山麓で古くから伝わる伊吹蕎麦が使われており、紀州南高の梅干しと大根おろしでさっぱりといただく一品。他にも、近江牛や近江黒鶏、湖魚が味わえるメニューもあります。
梅窓庵に近くには、本格的な茶の湯を体験できるお茶室「清閑居(せいかんきょ)」も。目の前で淹れてもらえるお抹茶と季節の上生菓子で、お庭を前に穏やかな時が過ごせます。鳥のさえずりや木の葉の音までが聞こえてくるのは、里山の自然に囲まれているからこそ。お茶室の名が「清閑居」というのにも頷けます。
「お茶席が初めて」という人は、体験教室でお作法を教わることもできます。お茶席、体験とも予約がおすすめですが、空席があれば当日受付もできるので、寿長生の郷に到着したら古民家(総合案内所)や菓子売場で申し込みましょう。
お茶室の隣には、寿長生の郷内の工場で作られたお菓子が並ぶ菓子売場があります。
梅を使ったお菓子の代表格「標野(しめの)」は、甘酸っぱい芳醇な梅ゼリー。飛鳥時代の女性歌人である額田王が詠んだ恋の歌にちなんだお菓子です。城州白に加え、赤が鮮やかな露茜(つゆあかね)という梅が使われているそう。
実は、寿長生の郷のある大津市はパンの消費量が全国でも1~2位を争うパンの町。数年前には、苑内にもベーカリーが誕生し、今や開店と同時にモーニングを味わうリピーターさんもいるという人気ぶりです。
2階のカフェ席も、緑に囲まれた心地よい空間。10時から11時までは、サイフォンで淹れたコーヒーや紅茶に、トーストまたはサンドイッチが付きます。まずは、ここで朝ごはんを食べてから、苑内を散策するのもよさそうです。
1階のベーカリーでは、国産小麦と天然酵母を使い、低温で時間をかけて発酵させたパンが並びます。なかでも、相性抜群の餡とバターをサンドした「あんこバター」が人気。パン専用に炊き上げられる餡には、地元滋賀で収穫された小豆「浅井大納言」が使われています。
おいしいものを味わい、野の自然を満喫したら、寿長生の郷を後にする前に茅葺屋根の古民家でクールダウンを。
日光で天然氷を生産する「四代目徳次郎」の氷を使ったかき氷「氷室守(ひむろもり)」は夏季限定のメニュー。寿長生の郷の入り口近くにある古民家で味わえます。抹茶小豆、完熟あまおうなどがそろいますが、この季節に訪れるのなら、苑内で収穫された城州白とアンズの果肉を合わせた自家製ソースのかかったかき氷がおすすめです。
代表銘菓の「あも」もこちらで楽しめます。一晩かけて蜜をふくませた丹波大納言小豆の餡に、とろけるような羽二重餅が入った「あも」を、食べるときに最中種で挟んでいただきます。最中種には、かるたの聖地・近江神宮に眠る百人一種を色鮮やかに再現。「あも」は、粒餡、こし餡のほか、季節ごとの味から好みのものを2種選べます。
野をめぐり、お菓子を味わい、お抹茶体験や時期によっては梅の収穫ができる「寿長生の郷」。半日から1日かけて、ゆったりした休日が過ごせます。
大河ドラマ『光る君へ』の主人公・紫式部ゆかりの石山寺の前後に合わせて訪れるのもよさそうです。また車で行くなら、宇治田原町の正寿院や、宇治市の平等院へも30分程度の距離。この夏は、ぜひ滋賀の自然豊かな里山で、贅沢な時を過ごしてみませんか。

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