日本各地から取り寄せた極上のお米を扱う「おこめ 天松堂」。お昼時はおむすびとおばんざいのランチ、夕刻からは日本酒と贅沢な素材を使った肴、おむすびで鎌倉の夜を満喫できます。土鍋で炊いたごはんの美味しさを堪能するおむすびで、古都のひと時を過ごしませんか。
鶴岡八幡宮に続く桜並木の参道・段葛から、脇道に入った先にたたずむ「おこめ 天松堂」。細い路地を進んだ先のお店はシンプルな黒の外観で、軒先の看板が目印です。鎌倉のシンボル的存在の鶴岡八幡宮は目と鼻の先という賑やかなエリアにありながらも、隠れ家のように落ち着きます。
オーナーの元松勇人さんは日本酒の唎酒師(ききざけし)としても活躍しています。職業柄お米の品種にも詳しいことから昼は上質なご飯のおむすびがメインのランチ、日が暮れる夕刻からは旬の素材を使ったお料理で日本酒を楽しめます。〆には自慢のおむすびがおすすめです。
元松さんのひいおじい様の代はこの場所で旅館を営んでいたのだそう。ゆったりとしたカウンターの奥にはテーブル席も用意されています。
産地と生産者そして栽培方法にまでこだわった極上のお米を日本各地から何種類も取り寄せ、その中から毎日3種類を炊きます。有機肥料で大切に育てたお米や、収穫後は昔ながらの天日干しでじっくり乾燥させたお米など、作り手の愛情が注がれたものばかりで、なかには皇室献上米もラインナップ。ほんの少し塩を入れて開店時間に合わせて土鍋で炊きあげます。
炊き上がるとすぐにおひつに移します。おひつは「木曽さわら」という天然木から作られていて、ごはんの水分を適度に吸収して一定の湿度を保つのだそう。時間の経過とともにごはんの味わいも深くなっていくのだとか。
オーダーごとにカウンターでつくるおむすびは口に運ぶとほろっとご飯が崩れてくるように優しくむすび、有明産の海苔からいい香りも漂います。ご飯一粒一粒の食感がしっかりと感じられ、お米が立っているという意味がよくわかりますよ。
具材はシンプルな「塩むすび」をはじめ「紀州南高梅昔ながらの梅干し」(280円)や「明太子」(300円)など十数種類から選びます。おむすびの定番具材でもある鮭は、カウンターの中にある火鉢にのせて焼き、炭の遠赤外線効果でふっくらとした焼き上がりです。
ランチタイムではお米の種類と具材を選ぶおむすびに、おばんざいをとり合わせたセットを用意しています。おばんざいは日替わりで鱧(はも)や真鯛の天ぷらなど贅沢な素材のとり合わせの日もあり、リッチなお昼ごはんに。お漬物の野菜は通称レンバイで親しまれている鎌倉農協連即売所で仕入れ、生まれも育ちも鎌倉の元松さんならではの地元の旬を活かした味も楽しめます。
艶のあるおむすびが3種類ならぶ「小結食べ比べ」では、ご飯のシンプルな美味しさを味わいます。取材の日は山形県のひとめぼれ・長岡コシヒカリ・皇室献上米長野県コシヒカリ の3種類でした。「本日のおこめ」として生産者や特徴などの説明書きを読んでいると、豊饒な大地に黄金色の稲穂が実る田んぼの景色が浮かんでくるようです。
美食の街といわれる鎌倉で、ご飯のシンプルな美味しさを贅沢に堪能する「おこめ 天松堂」。食後のデザートには「アイスクリームの天ぷら」もおすすめです。鶴岡八幡宮の参拝でぜひ立ち寄ってくださいね。