文京区の小石川にある播磨坂。その坂の途中に「Pâtisserie L'essentielle(パティスリー レセンシエル)」があります。「香り」という意味のフランス語「L'essentielle」を店名に付けたのも、スイーツの香りも楽しんでほしいというパティシエの牛島さんの思いから。地元・岡山に始まり、フランス・ニースでも修業を積んだ、見事な牛島さんのスキルとセンスが生み出したスイーツをご紹介します。
文京区の小石川に、播磨坂という緩やかな坂があります。春日通りと千川通りを結ぶ坂で、かつてここにあった松平播磨守の上屋敷にちなんで名付けられました。
播磨坂は有名な桜の名所。「Pâtisserie L'essentielle」はそんなすてきな坂の途中に立っています。
店名の「L'essentielle」は「香り」という意味のフランス語。目で見て、舌で味わうだけでなく、香りも楽しんでほしい…パティシエの牛島源希さんが、そんなスイーツづくりをめざしてオープンしました。
ショーケースには、牛島さんの思いとスキルで、素材のおいしさが最大限に引き出された絶品スイーツが並んでいます。
フランボワーズ、カシス、柚子、イチゴ、洋梨など旬のフルーツを使ったものから、ココナッツ、ショコラ、抹茶など常時楽しめるものまで、10数種類がラインアップ。
四角くカットされたケーキは、カラフルなエディブルフラワーや木の実で飾りつけされていて、アート作品のような美しさ。ひと口食べると、素材本来の風味にスパイスがプラスされた絶妙なバランスを感じます。
看板メニューの「シューアラクレーム」は、もちっとした弾力のある食感のシューで感動を覚えるほど。カスタードクリームにはトンカという豆が入っていて、オリエンタルであり、どこか懐かしさを感じる香りが広がります。
パティシエの牛島さんは岡山県津山市の出身。
高校卒業後、地元の人気店「Salon de thé La provence(サロン・ド・テ・ラ・プロヴァンス)」で経験を積み、19歳の時に、パリに拠点を置くパティシエの青木定治さんに出会い、国内の「Pâtisserie Sadaharu AOKI paris(パティスリー・サダハル・アオキ・パリ)」で修業をしました。
その後、ニースへ渡り、「KEISUKE MATSUSHIMA」で、フランスの文化とともに素材が持つ香りの素晴らしさを学んだそうです。
そして、帰国後、2014年にオープンしたのがこの「Pâtisserie L'essentielle」です。
「Pâtisserie L'essentielle」は、おみやげやギフトにぴったりの焼き菓子も充実しています。
「サブレ」「ラングドシャ」はサクサク食感で、いろいろなテイストで展開。オープン当初からある「ケーク」は、自家製のスパイスに3か月間熟成させたドライフルーツが使用されています。
「L'essentielle」には「香り」のほかに、「本質」や「たいせつなもの」という意味もあるそうです。
『星の王子さま』に出てくる「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。たいせつなことは目に見えないんだよ」という有名なセリフにも登場する言葉です。
播磨坂に面した大きいガラス窓は季節によっては開放され、桜やあじさいの花を眺めながらスイーツを味わうことができます。周辺には小石川植物園や白山神社などもあって、おさんぽにもおすすめ。香りを楽しみに「Pâtisserie L'essentielle」に足を運んでみませんか。