夏にふらりと出かけたくなるのが海沿いの街。神奈川県三浦半島の入り口に位置する逗子には、海を見渡す素敵なカフェがあります。高台にある隠れ家のようなカフェ「カフェ シエスタ hidamari cafe La SIESTA del Sol」で、まったりと海風に吹かれてみませんか。
JR逗子駅から京急逗子・葉山駅を経由するバスで15分ほどの場所にある小坪海岸バス停に降り立つと、近くにはリゾート施設の逗子マリーナと、昔ながらの小坪漁港がある海辺の街が広がっています。お目当ての「カフェ シエスタ hidamari cafe La SIESTA del Sol」は、下から見上げてもその姿がわかる、高台の一番高いところに建つ黄色い家。
漁港沿いの酒屋さんの根岸商店を目印に脇道に入っていき、くねくねとした住宅街の細い階段や坂道を上っていきます。民家を抜けると海を一望できる場所へ。最後にもう1つ階段を上るとようやく「カフェ シエスタ」に到着。まさに隠れ家という場所にあります。バス停から徒歩で6分ほどですが、少し山登りをしたような気分です。
一軒家の玄関で靴を脱ぎ、カフェへ。ここはオーナーの野津彰彦さんの自宅でもあります。この近辺に勤めていて、住む家を探していたという野津さん。高台の部屋から海が見えるこの家に出会い、カフェを始めようと思ったそうです。
「人が集まれる場所を作れればと思っていました。自宅に遊びに来ているような、みんながのんびりできるところになればいいなと思って」と野津さん。カフェの学校でノウハウを学び、料理は独学で始めました。みんなに愛されてきたカフェは2023年で11周年に。
自宅に招かれたように、リビングでリラックスできるカフェは、築35~36年ほどの日本家屋をリノベーション。この家を建てた大工さんの手仕事を感じられる欄間も素敵です。
畳の間を板の間にしましたが、工事用の土留めの板を大工さんからもらい、それを使っているので、床板も味のある雰囲気に。ソファはもらったものやリサイクルのものでいろいろなタイプがあり、好きな席でくつろげますよ。壁には時間を忘れてのんびりしてもらおうと、古時計もいくつかかかっています。
窓の外から爽やかな海風が入り、目の前が抜けているので、ここまでザーッという波音も聞こえてきます。店名につけられたスペイン語の「シエスタ」のように、昼休憩にぴったりのまったりしたくなる空間です。
小さな庭にはテラス席が。ブロックの上に木の板を置いた素朴なテーブル席は、2人だけの特等席です。眼下に広がる海を眺めながら、おいしい料理やデザートをいただきましょう。晴れた日には逗子マリーナや小坪漁港はもちろん、さらに富士山、江の島まで。小田原や熱海、伊東が見えることもあるそうです。
食事は煮込みハンバーグやグラタン、生パスタ、サンドイッチなどがそろいます。「上まで来てくれるので、できるだけ選べるように」と野津さん。人気の手作り「煮込みハンバーグ」はナツメグを多めに使っているのが特徴です。ハンバーグは200gもあって、ボリュームも満点。しめじや玉ねぎなどが入ったスパイシーなデミグラスソースをたっぷりとかけています。パンに合わせ、ソースも食べてもらおうと、あまり濃くせずに作っています。
煮込みハンバーグは注文から20~30分かかりますが、待ち時間に読んでもらえるように、小説や雑誌、漫画がたくさん本棚に並んでいます。漫画などもメジャーなものは置かず、このカフェに合う本をセレクト。待っている間に本棚をのぞいてみては。
「フレンチトースト」はフランスパンを使用。有塩バターを使っているので塩味があり、甘さが引き立ちます。添えたバニラアイスが溶けると、しっとり感や甘さも増しますよ。もうひとつの人気メニュー、「豆乳ワッフル」はアメリカンワッフル。卵や乳製品を使わず、豆乳マーガリンを使っているので軽めな味わいです。
一緒に合わせたいドリンクは、イギリスの老舗メーカー「FENTIMANS」のスパークリングドリンクで、6種類あります。置いているお店も少ないそう。ボトルもかわいらしく、バラの香りがほのかに漂うさわやかなローズ・レモネードがおすすめ。
カフェ内のベースカラーは白色、茶色、黄色。天井は梁を見せて古材風に塗っていたり、同じ白でも色味が少しずつ違っていたり、バランスを考えて配色しているそう。押し入れは黄色く塗っていますが、じつは夕日が当たるとオレンジ色になるということを計算しているといいます。
夕日が美しい場所としても知られている小坪漁港周辺。海に沈む夕日ももちろんきれいですが、カフェのある小高い山の斜面にはいろいろな屋根の家が建っており、それが夕日に照らされると美しく輝くそう。とくに冬は正面から照らされるので、さらに美しいそうです。営業は日没まで。夕日の時間帯にもぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。