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温泉街全体がひとつの旅館”黒川温泉一旅館”を掲げる黒川温泉のエシカルな取り組み

  • 2021年12月22日
  • ことりっぷ


江戸時代中期に療養温泉として始まり、露天風呂をめぐる入湯手形が話題となり、一躍有名になった黒川温泉。以来、町全体を一つの旅館とする”黒川温泉一旅館”を掲げ、温泉街全体が一体となって町づくりに取り組んでいます。近年は竹の間伐を利用したライトアップイベント、旅館から出る食品残渣を活用した堆肥作りなど、新たな取り組みも始まっています。今の時代を見据えて行う黒川温泉のエシカルな取り組みをご紹介します。
12月から4月初旬には、竹の間伐を活用した「湯あかり」を開催。竹害から里山の景色を維持するために10年前から始まったイベントです。球体にした竹灯籠約300個と、ひとつひとつデザインを施した竹ひごで作った筒灯籠50基で田の原川沿い400mに渡ってライトアップ。灯籠作りから設置まですべて旅館組合のメンバーが手作業で行っています。
もとの自然に溶け込むように灯籠を配置し、やわらかく温かみのある電飾でほのかな灯りを演出。数年前から徐々に話題を呼び、今では冬の風物詩として親しまれています。
1986年頃に作られた「入湯手形」が評判を呼び、全国区の知名度を誇るようになった黒川温泉。「入湯手形」とは、黒川温泉にある全28か所の露天風呂のうち3か所に入浴できるというもの。当時、露天風呂が作れない2軒の宿を救うため、「一軒で儲かるのではなく、地域全体で黒川温泉を盛り上げたい」との思いで作られたそうです。
この入湯手形は地元の名産である小国杉の間伐材を使用して作られたもの。地元の職人が加工し、地域の人々が手作業で仕上げています。その収益は黒川温泉の町づくりに生かされます。地域資源を地元で循環させ、その収益を街作りに還元しているのです。
さらに、2021年は「2030年ビジョン」と称する新たな試みも始動。その一つがブランド牛のあか牛を同エリアの飲食店で提供し、地元の畜産農家へ還元するプロジェクト「つぐも」です。
熊本県のブランド牛として知られるあか牛は、ほとんどが幼年期のみ地元で育てられたもの。そのあか牛を最初から最後まで地元で育てることで、牛馬の放牧地である草原が守られます。草原にある牛の糞が堆肥となって質の良い米や野菜を育て、その野菜クズを牛が食べ、糞が堆肥になるという循環型農業です。そこで育ったあか牛を同じ町内である黒川温泉で提供する。景観と農業、観光の3つが回っていく仕組みです。
旅館から出る食品残渣で野菜を作る堆肥を作る「コンポストプロジェクト」も「2030年ビジョン」の一つ。食品残渣を活用することでゴミやCO2の排出を減らし、黒川温泉が目指す環境保全にもつながるプロジェクトです。野菜作りに使える完熟堆肥を作るのに、早くても4ヶ月から6ヶ月。旅館の女将やオーナー自ら堆肥作りに取り組んでいます。
できた完熟堆肥は地元農家に活用してもらい、採れた野菜を旅館で提供する循環を目指します。今後は堆肥のみで作る有機農業も計画しているそうです。
未来を見据えたさまざまな取り組みに、ますます発展の予感を感じる黒川温泉。里山の風情を残した温泉街の景観づくりにも自然に寄り添うエシカルな取り組みが反映されています。ぜひ現地を訪れてその魅力を感じてみてくださいね。
「ことりっぷマガジン冬号 Vol.31」の〈すてきな人がいる 町に Vol.7〉では旅館山河の若女・後藤麻友さんに里山の風情を感じる温泉街・黒川温泉でおすすめのグルメやおみやげをご紹介してもらっています。是非本誌もチェックしてみてくださいね。

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