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自分たちで育てたお米で醸す! クラフトサケ・プロジェクト

  • 2024年5月28日
  • コロカル

こんにちは。 「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる 〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

以前紹介した、お米の栽培から参加できるお酒づくりのプロジェクト〈棚田のクラフトサケ計画〉。その集大成となるオリジナルのクラフトサケがついに完成しました! 

酒蔵、日本酒バー、そして〈いとしまシェアハウス〉が主体となりそれぞれの声掛けで集まった一般参加者さんと、1年間みんなで育てた棚田のお米が、お酒に! 

今回はプロジェクトのスタートから、クラフトサケの完成まで、楽しかった1年の道のりを振り返りながら綴っていこうと思います。

みんなで栽培し、収穫した、クラフトサケの「原材料」のこと

手作業で田植えをしている人々の様子。

田植えが初めてという方も「楽しい!」と笑顔に。

プロジェクトがスタートしたのは2023年6月。参加者みんなで田植えを行い、そして決起会へ。初めましての方が多いなか、「お酒が好き」という共通点もあり、田植えを通じて一気に距離が縮まりました。

青々と成長した棚田の稲と、澄み渡る青空の写真。

石垣の草とりをみんなで。農薬を使わない田んぼには、トンボがたくさん飛んでいます。

夏は草とり。棚田の石垣の雑草をきれいに刈ったら、水路に流れる冷たい山水で足を冷やし、そのまま海へ! 

参加者さんからアイスの差し入れもあったりと、大人も子どもも大はしゃぎの夏でした。

波打ち際で、大人と子供が手をつないで遊んでいる様子の写真。

田んぼ作業で気持ちよく汗をかいたあとの海は最高! 海の近い田んぼだからこそできるアクティビティです。

秋は稲刈り。お米は昔ながらの天日干しで乾燥させていきます。

田植えのときは細くて頼りなかった苗が大きく育ち、黄金色の稲穂がたっぷりと実りました。参加者さんも、稲の見事な成長ぶりに「大きくなったなあ!」と満足げ。

収穫時のメンバーの集合写真。背後には、刈り取った稲穂がハザにかけられている。

つい無心になってしまう稲刈り。今回は参加者さんたちの驚くべき集中力とスピードで、予定の半分ほどの時間で稲刈りが終わり、私たちもびっくり! 大きな稲をかついで一生懸命お手伝いする子どもたちの姿に胸キュン。この体験を覚えていてくれるとうれしいな。

刈りとられた稲がきっちりと束ねられ、天日干しされていくと「やっとここまで来た……」という気持ちで胸がいっぱいになりました。

クラフトサケの材料が揃うまで、あと少し! 

かごにたっぷり入った橙の写真。

橙の爽やかな香りに包まれながらの収穫。

年が明けると、お酒のフレーバーとなる“副原料”の収穫が待ち構えています。

収穫作業に訪れたみんなとお酒を酌み交わしながら「ハーブがいいかな」「いや柑橘がいいかな?」と盛り上がった結果、酸味が強く、旨みもある“橙(だいだい)”を使うことになりました。

棚田のすぐそばにある柑橘畑で橙を収穫。新鮮なうちに加工すべく、その日のうちに福岡県福岡市にある〈LIBROM〉の醸造所へ運びました。橙が積まれた車を見送りながら「いよいよお酒が仕込まれるんだ……!」という実感が高まってドキドキしたのを覚えています。

これで、すべての材料が揃いました。約100キロの棚田米と、約60キロの橙を使ったクラフトサケ、どんな味になるのでしょうか。

高枝切りバサミを使って、橙を収穫する男性の写真。

高枝切りバサミを使って、高いところの大きな橙を狙います。

おいしさの秘密は、自然栽培米⁉

クラフトサケの醸造を担うのは、プロジェクトのメインメンバーであり、福岡市内でさまざまなクラフトサケを醸造する〈LIBROM〉。

橙を収穫してからしばらくして、お酒を搾るという連絡があり、ウキウキしながら〈LIBROM〉へ向かいました! 

醸造所には、お酒のもととなる“もろみ”が入った220リットルの巨大タンクがずらりと並んでいます。プロジェクト用に仕込まれたもろみのタンクを上から覗きこむと、橙とお米による爽やかで濃厚な香りに頭がクラクラ。もろみの表面は、発酵によってぽこぽこと泡立っていました。

オレンジ色の樽にもろみを流し込んでいる写真。

ボコボコと泡立ったもろみの写真。

タンク内の様子を確認したあとは、もろみを搾っていきます。

味見の際、お酒を搾るときに一番最初に滴り落ちる「あらばしり」と呼ばれるお酒を振る舞っていただきました。搾りの工程のなかでも特においしいといわれる、貴重な部分です。

そっと口に含むと、橙のフレッシュな香りと、お米の豊かな甘み、シュワシュワとした口当たりで目が覚めるようなおいしさでした!

大きなタンクが並ぶ醸造所で作業をする2人の男性の写真。

クラフトサケを仕込む〈LIBROM〉の蔵人・穴見さん(手前)と、〈いとしまシェアハウス〉の浩一さん(奥)。

「橙のクラフトサケ、すごくおいしく仕上がりました! やっぱり自然栽培米はいいですね。お米がよく溶けて、甘みが出やすい。橙の酸味とお米の旨み・甘みのバランスがよいお酒になったと思います」

そう笑顔で語ってくれたのは、〈LIBROM〉の蔵人・穴見峻平さん。今までさまざまなお米でお酒を仕込んできたけれど、自然栽培米でつくったお酒は、特においしく仕上がる、といいます。

「同じお米の品種でも、育て方によってお酒の味が変わるんです。できるなら全量、自然栽培米にしたいくらいですね」

田植えをする人々がポップなイラストで描かれたラベルのお酒のボトル写真。

田植えをする参加者さんを描いたオリジナルラベル。イラストは〈いとしまシェアハウス〉のメンバーとも仲がいい、イラストレーターのダテユウイチさんです。

待ちに待った完成披露会!

田植えに始まり、草刈り、稲刈り、副原料の収穫と、11か月の月日を経て、2024年4月、ついに棚田のクラフトサケが完成しました! 

完成披露会は、バーを併設する〈LIBROM〉で行うことになり、プロジェクト参加者全員が集まってクラフトサケを味わいました。カウンターには、搾りたてのクラフトサケと一緒に棚田で育てたお米で握ったお寿司も並び、華やかなお祝いムードに! 

大きな声で乾杯をすると、できあがったお酒の完成度の高さに参加者さんの目がキラキラと輝きます。

「予想以上においしくて驚きました!」

「自分で育てたと思うと、おいしさも格別ですね」

「家族や友だちにも、“私がつくったお酒だよ!”ってすすめたいです」

「来年も絶対参加します!」

乾杯をしている大勢の大人の写真。

参加者のみなさん。年間の共同作業を通じてチームとなり、みんなすっかり仲よくなりました!

このプロジェクトで育て、クラフトサケの主原料となった棚田米は、農薬や肥料を使わず“自然栽培”で育てたもの。除草剤も使わないので、手作業で何度も除草作業を行いました。

手間ひまをかけてお米を育て、みんなで話し合って酒造りをし、自分たちだけの特別なクラフトサケができあがりました。

今回のプロジェクトには、都市部から多くの方が参加してくれました。こうして棚田に通ってくれる人がいることで高齢化が進む地域課題へのアクションとなり、棚田の風景の保存活動にもつながっていきます。また、プロジェクトの売り上げの一部を棚田保全費に充てる仕組みも整えました。

みんなでつくったお酒が、みんなを笑顔にしている。そして、みんなが手を動かしてくれたことで、棚田の文化が守られていく。この幸せな光景を見ただけで、この1年の大変だったことが全部吹き飛びました。このプロジェクト、やってよかった‼

刈り取った稲穂を抱える2人の男性の写真。

〈棚田のクラフトサケ計画〉を一緒に企画する酒蔵のスタッフさん(右)と、日本酒バーを経営しているオーナーさん(左)と。

2023年から始まった〈棚田のクラフトサケ計画〉。2024年6月には、プロジェクト第2弾がスタートします! 今年はどんなメンバーが集まり、どんなお酒に仕上がるでしょうか。

お酒が大好きな方、自分の育てたお米でお酒をつくってみたい方、一緒にお米づくりしてみませんか? 糸島の棚田でお待ちしています!

Information

〈棚田のクラフトサケ計画〉第2弾! 参加者募集中

糸島の棚田でお米を育てて「自分たちのオリジナル酒」をつくってみませんか?

詳細はこちら

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CHIHARU HATAKEYAMA

畠山千春

はたけやま・ちはる●新米猟師兼ライター。3.11をきっかけに「自分の暮らしを自分でつくる」活動をスタート。2011年より鳥を絞めて食べるワークショップを開催。2013年狩猟免許取得、狩猟・皮なめしを行う。現在は福岡県にて食べもの、エネルギー、仕事を自分たちでつくる〈いとしまシェアハウス〉を運営。2014年『わたし、解体はじめました―狩猟女子の暮らしづくり』(木楽舎)。第9回ロハスデザイン大賞2014ヒト部門大賞受賞。ブログ:ちはるの森

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