山形県内4か所の旅館とグランピング施設を展開する古窯グループ。山形県初のプリン専門店〈山形プリン〉を開業、2022年12月には東北初の日帰り温浴施設〈おふろcafe yusa〉と山形プリンの姉妹ブランドとなるフルーツアイスクリーム専門店〈MOGY〉をオープンするなど、山形のファンをつくるための魅力づくりや発信を積極的に行っています。
そんな同社が山形県上山市で営むのが、かみのやま温泉の〈おやど森の音〉です。〈おやど森の音〉は「森にも、人にも、心地よい宿へ。」をコンセプトに忙しい毎日を離れ、普段とはひと味違った森の時間を提案する全14室の大人だけが滞在できるおやどです。
館内は、木製家具やドライフラワーなど自然素材をふんだんに使いシンプルな色調で統一されています。これは中庭や、ダイニングと客室の窓の外に広がる豊かな自然を存分に楽しんでほしいという想いからです。宿全体が「森へ続く庭」のような空間となっています。
全室和室の客室は28平米のスタンダードルームから約60平米のジュニアスイートまで5タイプを展開。桜の樹々や山々など、山形ののどかな自然を借景にした贅沢な空間です。また、和室ならではの心地よさを際立たせるために床の間には異国の要素を現代的に取り入れています。
館内には、かみのやまの大地から湧き出る温泉を引いた大浴場も完備。窓辺に揺れる木漏れ日が心地よい「陽」と、夜空を望む露天風呂付きの「月」に分かれています。それぞれ脱衣場も落ち着いたアースカラーで統一され、洞窟のような安らぎが味わえます。
2024年2月11日には、自然に寄り添ったサステナブルステイを提案すべく、施設内のレストラン〈森の音dining〉がリニューアル。山形の自然文化や地域との共生を目指し、山形の風土を空間からデザインするとともに、コンセプトである「森にも人にも、心地よい宿へ」をより一層体現しています。
提供する料理、飲み物からインテリアデザインまで地元素材にこだわり、より山形の自然を五感で感じられる空間に仕上げています。
山形県は、さくらんぼやラ・フランスをはじめとした、多くの果物を生産している果樹王国。ぶどう栽培も盛んで、山梨・長野・北海道と並ぶ、日本のワイン4大生産地のひとつです。特に上山市は、東北最大級のワインぶどう畑団地ができるなど、ワインの郷としても知られています。
リニューアルされたレストランにはワインバーが設置され、〈タケダワイナリー〉や〈ウッディファーム&ワイナリー〉、〈高畠ワイナリー〉などソムリエが厳選した山形県産ワインを豊富にラインアップ。ぶどう農家が蓄積してきた高い栽培技術と個性的なワイナリーによって創られた、山形・かみのやまの独自のワイン文化を発信しています。
インテリアは県産木材の家具や県内アーティストの作品を使用。すべて県産のナラの木からできたペンダントライトは、自然や人とのつながりの中から生まれる“循環”をテーマに作品の製作を行っている〈sato wood studio〉の作品です。「森と人とがつながる場所、森の音」のテーマに合ったインテリアで、山形の自然のぬくもりあふれる非日常空間を演出しています。
心と身体をめざめさせる、春のサステナブルディナー〈森の音dining〉では2024年3月1日(金)〜6月4日(火)の期間、物知りな子うさぎ「ジャンプ」が春の味覚を教えてくれるストーリーとともに進んでいくコースディナー「子うさぎの贈り物」が提供されます。
食材には地産地消として地元素材をふんだんに使用。デトックス効果が期待できる山菜や、冬の間にエナジーを凝縮した春野菜を多く使用し、パワーみなぎる春の料理が登場します。そのほか、ジビエや森の恵みをふんだんに使用した料理にも注目です。
四季折々表情を変えるのどかな里山の景色を堪能できる〈森の音dining〉。春には桜を見ながらのお花見ディナーを楽しめるはず。
information
おやど森の音
住所:山形県上山市河崎字反田848
Tel:0570-03-0810
1泊1室料金:1泊2食付き20900円〜、税・サービス料込み、別途入湯税必
Web:〈おやど森の音〉公式ウェブサイト
*価格はすべて税込です。
writer profile
Riho Nakamori
中森りほ
なかもり・りほ●東京生まれ東京在住のフリーライター/編集者。仕事やプライベートで月に1回以上、地方や海外へ。各地のおいしい食べ物やお酒、素敵なホテルや旅館を発掘するのが趣味。好きな番組は『ブラタモリ』『六角精児の呑み鉄本線・日本旅』。