江戸時代初期にはじまった綿花の栽培から、繊維産業のまちとなった岡山県倉敷市・児島。
そんな土地柄、デニムと並んで、このまちで有名になったのが「帆布」です。
同地で1888年に誕生した〈倉敷帆布〉は、日本人の細やかな業が反映された最高品質の帆布メーカー。時代の移り変わりに適応しながら130年もの間、技術をアップデートし続け、しなやかさと強さを併せ持つ糸で、高品質で味わい深い帆布プロダクトをつくっています。一級帆布は、バッグやシューズはもちろん、日用品から工業用にまで幅広く使われているんだとか。
脈々と歴史を重ねる同メーカーですが、昨年2023年12月6日に、その断片を収めた一冊の写真集『An Ordinary Day』を発売しました。
それは、美しい光をとらえた写真が印象的な中川正子氏を写真家に、創業135年となる工場の“ある一日”を彼女の視点から切り取った、業への慈しみの想いと工場で働く人々の実直さが現れた、唯一無二の一冊。クラウドファンディングでの260名もの人々の支援を受けて、かたちになったといいます。
ページをめくるたび、工場の息遣いがすぐそばで聞こえてきそうです。その歴史に思いを馳せ、大切に大切に眺めていたくなることでしょう。購入は倉敷帆布オンラインストアで可能です。
中川正子 自然な表情をとらえたポートレート、光る日々のスライス、美しいランドスケープを得意とする。写真展を定期的に行い、雑誌、広告 、アーティスト写真、書籍など多ジャンルで活動中。2011年3月に岡山に拠点を移す。全国及び海外を旅する日々。2017年に『ダレオド』(BOOK MARUTE/Pilgrim)を上梓。台湾を皮切りに、全国で展覧会とフェアを展開する。2019年にはWONDER FULL LIFE より『Rippling』を発表。fua accessoryとのコラボレーションで短編「モキク」をリリース。エッセイも多数。代表作に「新世界」(PLANCTON刊)『IMMIGRANTS』(Octavus刊)など。最新の作品は小説家・桜木紫乃氏との共著『彼女たち』(KADOKAWA刊)。2024年2月、初となるエッセイ集『みずのした』(くも3刊)を発刊予定。Instagram @masakonakagawa
information
中川正子写真集『An Ordinary Day』
仕様:袋綴じ・オープンバック製本
版型:182mm×238mm
販売価格:4620円
表紙:全6種
デザイン:飯田将平 ido
編集:猪飼尚司
発刊元:倉敷帆布株式会社
Web:倉敷帆布オンラインストア 中川正子写真集 『An Ordinary Day』販売ページ
*価格はすべて税込です。
writer profile
Kanae Yamada
山田佳苗
やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。