みなさん、〈フレスコボール〉って知っていますか?お菓子の名前? それとも洗剤?いえいえ、実はブラジル・リオデジャネイロ発祥のビーチスポーツの名前なんです。
どのような競技かというと、大きなしゃもじ型のラケットを持ち、向き合うふたりがどれだけ協力してラリーを続けられるかを競う、というもの。
その様子から「思いやりのスポーツ」とも言われ、日本では2024年1月の時点で27の一般社団法人日本フレスコボール協会(以下、JFBA)公認地域クラブと3の公認学生団体があり、フレスコボールを通じた地域コミュニティが形成されているんだとか。
岩手県・陸前高田市も、そのようにフレスコボールが普及しつつあるまちのひとつ。きっかけは、東京でフレスコボールの選手として活躍していた橋詰友人選手が陸前高田へ移住したことから。そこからフレスコボールの輪が広がり、2022年からは高田松原海水浴場で公式戦も開催されました。
最近は、宮城県気仙沼に「気仙沼フレスコボールクラブ」も誕生。三陸海岸は、東北におけるフレスコボールの聖地として、盛り上がりを見せているようです。
飽和状態の気仙杉を有効活用そんな東北のフレスコボールの聖地、岩手県・陸前高田で、JFBAから、フレスコボールの新ラケットブランド〈TRILL(トリル)〉が誕生しました。
フレスコボールの選手であり、山木屋としても活動する平山夫妻。
自身もプレイヤーとして活躍し、陸前高田市で林業・木工業に携わる山木屋の平山夫妻が製作したこのラケット。地元産材・気仙杉を使ったモデルを中心に、子どもから大人までが楽しめる全5本を展開しています。
名前は、イタリア語で「鳥のさえずり」という意味の、2つの音を交互に素早く演奏する音楽記号から。2つのラケットで打ち合う競技特徴と、鳥のさえずりの絶えない陸前高田という土地柄から、このように名付けられました。
陸前高田市では、木材として活用できる良質な気仙杉が放置されている課題を解決するため、「自伐型林業」と呼ばれる小規模間伐型の森林施業を推進。そこから、地域おこし協力隊制度を活用し、林業における後継者づくりを行っています。
平山夫妻は、そんな地域おこし協力隊として陸前高田市の林業に従事し、その後完全移住された夫妻。
気仙杉を使った大会トロフィー。
JFBAでは、2022年に陸前高田にて東北初の公式戦を開催。理念である「フレスコボールを通じた地域貢献」から、JFBA公式トロフィーにも気仙杉を採用しています。
このような取り組みもあり、このたびTRILLをJFBA公式ブランドとして販売されることに。
Proモデル〈高反発〉、Proモデル〈軽量高反発〉、Standardモデル、Starterモデル、Juniorモデルの5種類のラケットが展開されました。
TRILL-PRO〈高反発ラケット〉12000円(撮影:小林大樹) TRILL-Proはシリーズ最高級モデル。優れた品質と精密な製造技術で、最高のプレイ体験を実現。ウレタン内蔵の高反発仕様で、スイートスポットも大きめ。
TRILL-気仙杉 Standard 7800円 TRILLシリーズの標準モデル。打感に癖がなく、誰でも満足のいくプレーを。気仙杉のみで作られており、木目や質感がとても優しい仕上がり。
TRILL-気仙杉 Junior〈オーダーメイド〉4200円(撮影:小林大樹)子ども用のフレスコボールラケット。小さな手でも掴めるようグリップテープを巻いて販売。ラケットの大きさは小さいですが、スイートスポットが広いのが特徴。
陸前高田で地域をつなぐ新たなカルチャーとなりつつあるフレスコスポーツ。この記事を見て気になった方は、ぜひJFBAの公式WEBショップをチェックしてみては?
information
日本フレスコボール協会
Web:日本フレスコボール協会公式WEBストア
*価格はすべて税込です。
writer profile
Kanae Yamada
山田佳苗
やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。