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「上高地」 詳細解説

読み:
かみこうち
英名:
Kamikochi

上高地は、長野県松本市にあり、北アルプスの山麓に広がる高原観光地だ。標高約1500mの盆地状の広い谷で、中部山岳国立公園の代表的な景勝地となっている。独自の地形に育まれた豊かな自然環境には、さまざまな動植物が生息・生育しており、特別名勝や特別天然記念物に指定されている。主な見どころとしては、大正池、田代池、明神池、嘉門次、河童橋、釜トンネル、小平梨、徳沢、穂高神社などがある。

古くは穂高神社の奥宮のある聖地として崇拝され、人も訪れない場所だった。明治時代に英国人宣教師のウォルター・ウェストンが、著書「日本アルプスの登山と探検」の中で、上高地とその周辺の山を紹介したことで世界的に注目されるようになった。また、1927年に芥川龍之介が小説「河童」で上高地と河童橋を登場させたことや、日本八景に選ばれたこと、上高地を含む北アルプス一帯が中部山岳国立公園に指定されたこともあり、観光客が大幅に増加した。

同地では1960年後半頃から道路が整備され、マイカーや観光バスが河童橋にまで乗り入れるようになると、車の排気ガスにより木が枯れるなど自然環境が急速に悪化した。また、駐車場に収容能力の限界を超えた車が押し寄せ、駐車場以外の場所にも車が駐車し、大渋滞を引き起こした。このため、1975年に県道上高地公園線で夏期マイカー規制が実施された。その後徐々に規制が強化され、1996年からは通年交通規制が行われている。また、2004年からは、7月中旬から夏季の観光バスの交通規制も実施されている。

上高地の環境保護活動は自動車規制だけではなく、長い歴史がある。最初に自然保護の動きがあったのは1909年のことで、高山植物の採取が禁止され、保護が進められた。また、ライチョウ、カモシカ、イワナなどの捕獲が禁止され、天然記念物への指定も進められた。そして1934年に、上高地一帯が中部山岳国立公園に指定された。1975年には、梓川での釣りが禁止された。

建築規制も強化されており、1992年には安曇村(現松本市)で環境保全条例が制定され、国立公園外においても、高さ制限や築造面積が制限されるとともに、意匠、形態、材料、色彩などが規制され、周囲の景観に合わない建物は建てられないようになった。これらの特別規制は、市町再編により安曇村が松本市に編入された以降も、同市の屋外広告物条例に引き継がれている実施されている。

市民による取り組みも盛んだ。1963年に設立された「上高地を美しくする会」は、地域の清掃活動を続けるなど、行政と協力しながら環境保全に取り組んだ。地元の観光旅館組合も、自然環境を守りながら観光産業を振興する活動に力を入れている。

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