サイト内
ウェブ

「環境不動産」 詳細解説

読み:
かんきょうふどうさん
英名:
Green Building

不動産とは、土地やそこに建つ建物、木などを指す言葉だ。不動産の価値を評価する指標としては、国土交通省が定める不動産鑑定評価基準がある。同基準は環境について、土壌汚染に関する状況調査を義務づけているほか、地域要因として住宅地における騒音大気汚染など公害発生の程度や、工業地における公害発生の危険性などをあげている。一方、ビルの環境対策を進めるための施策としては、国の省エネ法に基づく届出制度や、東京都の環境確保条例に基づく環境・エネルギー関連の届出・報告制度がある。

こうしたなか、環境面からみて価値の高い「環境不動産」が注目されている。地球温暖化対策など建築分野全体の環境対応を底上げし、発展させていくことがねらいだ。国土交通省の環境不動産懇談会が2012年4月に行った提言は、環境に配慮した不動産が適正に認識・評価される市場の形成と、持続可能な不動産ストックを形成していくために必要な事項をまとめている。同提言によると、情報の「見える化」を進めるためビルオーナーによる情報の計測・保管・提供が不可欠であると指摘している。また、オーナーとテナントの協働や、中小ビルや地方における環境対応の推進も必要だ。

環境に配慮した不動産を評価したり、認証したりする仕組みも整備されつつある。ビルの省エネや快適性、景観への配慮などを総合的に評価する仕組みとして有名なのが、(財)建築環境・省エネルギー機構(IBEC)による「建築環境総合性能評価システム(CASBEE=キャスビー)」だ。省エネ性能が高く環境負荷の少ない資材の使用、景観への配慮、資源循環、快適性などの各要素を解析し、ビルの環境性能を評価する。CASBEEは、環境にやさしいグリーンビルディングの性能を客観的に判断し、普及を図るうえで欠かせない指標となっている。

金融機関による独自の認証もある。日本政策投資銀行(DBJ)によるグリーンビルディング認証や、三井住友信託銀行による環境配慮ビルディング評価型資金調達などだ。官民によるこうした取り組みが実を結び、日本の不動産市場でも、環境不動産の付加価値が高く評価されるようになっている。

国交省の資料によると、新築分譲マンションの募集価格に基づく分析の結果、地方自治体版CASBEEの届出や都のマンション環境性能表示がある物件は価格が数パーセント高いことがわかった。また、住宅購入予定者やオフィスワーカーを対象とした分析でも、環境性能認証の取得だけでなく、CO2の削減や生物多様性の保全、緑景観向上などに対して、ユーザに一定の負担を負う意思があるという結果が出た。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。