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「BSE」 詳細解説

英名:
Bovine Spongiform Encephalopathy

BSEは、1986年にイギリスの牛から見つかり、以後、アイルランド、フランス、ベルギー、カナダ、アメリカなどでも次々に発見された。日本では2001年に初めて発見され、2005年12月10日段階で合計21件が報告されている。

BSEは、異常化したプリオンたんぱく質が、正常なたんぱく質を変質させて、脳組織を破壊し、ちょうど海綿(スポンジ)のようにスカスカにしてしまう病気で、脳が海綿状になることから「牛海綿状脳症」と呼ばれている。もともとはヒツジで発症し、ヒツジの肉を餌にした牛に伝播し、さらに感染した牛の肉骨粉を餌にした牛の間に伝播していったものと考えられている。

BSEに感染した牛は、長期潜伏期間の後に発病し、起立不能、歩行不能などに陥り、2週間から6ヶ月くらいの間に死亡する。現在のところ有効な治療法は見つかっていない。

BSEは、牛の頭部(舌及び頬肉を除く)、脊髄、回腸の肉など、もっとも感染の危険率の高い「特定部位」を食べた場合、牛からヒトへも感染する場合があるとされている。1996年にイギリスで牛海綿状脳症に症状が似た「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病患者」が発生し、BSEに感染したのではないかとの疑いがもたれている。しかし、その原因や治療法についてはまだ不明な点が多いのが現状である。

牛からヒトへ伝播することが認められたため、牛肉の安全性が日本でも大きな問題となった。国内の牛肉に関しては、国は全頭検査を行い、安全性を確認することとした。後にBSE にかかりにくいとされる生後20ヶ月以下の牛を検査対象から除外する緩和策を打ち出したが、都道府県では自主的に全頭検査を継続している。日本においては、誕生する1頭1頭の牛について履歴が明確にされており、BSEに感染した牛が発生した場合は、焼却処分され食品として流通することはない。

わが国の牛肉消費量の約6割を占める輸入牛は、主としてアメリカ産とオーストラリア産であった。しかし、2003年5月にカナダの牛から、同年12月にはアメリカの牛からBSEが発見され、カナダ産は5月21日から、アメリカ産は12月24日から輸入禁止措置が採られた。

しかし、アメリカの牛肉産業は、同国の農産物販売額の4分の1にも達しており、中でも日本は最大の牛肉輸出先であった。このため、日米間の経済・政治問題に発展し、アメリカは日本に対して輸入再開を強く働きかけた。日本は「内閣府食品安全委員会」で慎重に討議を重ねてきたが、「一定の条件が守られれば、日本産牛と比べてリスクの差は非常に小さい」という見解を発表、これを受ける形で政府は2005年12月、「BSEに感染しにくい生後20ヶ月以下で、“特定部位”を除去すること」などを条件に、アメリカ・カナダからの牛肉輸入再開が決まった。

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