サイト内
ウェブ

「浮体式洋上風力発電」 詳細解説

読み:
ふたいしきようじょうふうりょくはつでん
英名:
Floating Offshore Wind Power

風の力で風車を回して発電する風力発電は、太陽光発電と並んで大きな出力をもつ再生可能エネルギーとして普及が期待されている。このため、単体設備はもちろん、大型の風車を数基から数十基設置する「ウィンドファーム」と呼ばれる設備群が各地で建設されている。しかし、陸上で強い風が安定的に吹く場所を見つけるのは難しい。また、大規模な発電所を建設しようとすると、景観や自然への影響、風車の回転に伴う騒音の発生、渡り鳥の飛行妨害などさまざまな障害が存在する。

こうした中、海の上に風力発電所を建設して発電する「洋上風力発電」が注目されている。洋上は風速が強く変動が少ないため、安定かつ効率的に発電を行うことが可能だ。また、四方を海に囲まれた日本は、排他的経済水域で世界第6位の海洋国で、洋上には陸上と比べて高い導入可能性がある。洋上風力発電には、設備を海底に固定する着底式と、海の上に浮かべた構造物の上に設備を建設する浮体式の2種類がある。欧州では、20年以上前から着底式の設備が建設され、商用ベースの運転が行われている。

一方、浮体式の設備は、海外でもノルウェーやポルトガルで実証研究が始まったばかりだ。わが国周辺の海域は水深が50m以上の深いところが多く、浮体式が向いている。日本では、政府と企業、大学・研究機関が共同で、商用規模の浮体式洋上風力発電施設の実証事業を行っている。環境省は2013年10月に、長崎県五島市椛島周辺海域で、わが国初となる浮体式洋上風力発電施設の実証運転を開始した。浮体の上部に鋼、下部にコンクリートを使用した「ハイブリッドスパー型」としては世界初の、2MWクラスの風車を搭載している。

また、経済産業省は2013年11月に、福島県沖で浮体式洋上風車の試験運転を開始した。福島県沖で事業を実施することにより、雇用を創出して東日本大震災からの復興に役立てようという狙いがある。実証研究は2期に分けて行われ、第1期には風を後ろから受けて発電する2MWの「ダウンウィンド型」浮体式設備1基と、世界初の25MVA浮体式洋上サブステーション、海底ケーブルなどを設置する。続く第2期には、7MWの巨大浮体式設備2基を新設する予定だ。

ただし、環境省によると、大規模な洋上風力発電の設置による環境への影響については、いまだ解明されていない点がある。このため、環境アセスメントの実施に当たっては、追加的な環境保全措置を講じることが求められる。また、環境保全措置を実施する際は、検討工程や方法、専門家の意見、主要論点やその対応方針などを公開し、透明性及び客観性を確保する。事後調査の結果についても、環境への影響を分析して公表する必要がある。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。