A: 風力発電所を陸上で建設しようとすると、多くの障壁が立ちはだかる。まず、強い風が安定的に吹く場所を見つけるのが難しい。また、景観や自然への影響、風車の回転に伴う騒音の発生などが問題となる。さらに、渡り鳥の飛行を妨害するという指摘もある。それに比べて海の上で行う洋上風力発電は、変動が少なく強い風を効率よく利用できる。とくに日本周辺には水深50m以上の海域が多く、海に浮かべた構造物の上に設備を建設する浮体式洋上風力発電が向いている。
A: 日本では、長崎県沖と福島県沖で浮体式洋上風力発電の実証事業が進められている。海外では、ノルウェーやポルトガルで実証研究が行われている。ノルウェーではノルウェー南西海岸10km沖の海域で、細長い円筒形状で低重心の「スパー型」の設備が試験運転されている。また、ポルトガルではアグサドウラ沖で、「セミサブ型」と呼ばれる方式の設備が建設されている。このほかに、イタリアで模型を使った試験が行われたことがある。