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「固定価格買取制度(FIT)」 詳細解説

読み:
こていかかくかいとりせいど
英名:
Feed-in Tariff Program

太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギーの普及を図ることは、地球温暖化対策や省エネを進める上でなくてはならない政策だ。そのためには、電力会社などの電気事業者がこれらのエネルギー源からつくった電気を買い取り、送電網を通じて利用者へと供給する仕組みが必要になる。2012年7月1日に始まった固定価格買取制度(FIT)は、再エネを用いて発電された電気の買い取りを、一定の期間、国が定める固定価格で電気事業者に義務づける制度だ。「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づく。

再エネの導入が遅れている理由の一つに、石炭などの化石燃料に比べてコストが高いことがある。しかし、再エネにより発電された電気を電力会社が決まった期間と価格で調達するようになれば、その導入は格段に広がっていくことが期待できる。再エネを買い取る価格と期間が固定化されることで、事業者や市民は設備投資にかかるコストを回収する計画を立てることができ、投資も受けやすくなるためだ。再エネの普及にかかるコストを社会全体で支えるというこの考え方は、海外では早くから認められ、ドイツやスペインなど多くの国でFITが制度化された。

日本の場合、電力会社による調達価格と期間は、第三者委員会の意見をもとに経済産業大臣が告示で定める。2015年度の価格と期間は、10kW未満の太陽光の場合で33円・10年間、10kW以上の太陽光で同じく27円+税・20年間となっている。同様に風力、水力、地熱、バイオマスのそれぞれについて、調達価格と期間が定められている。太陽光パネルなどの発電設備を設置している事業所や工場、住宅などは、決まった価格と期間で、再エネによりつくった電気を売ることができる。ただし、売電を行うには国による設備認定を受けなくてはならない。

電力会社が再エネによる電気を買い取る費用は、電気の使用者から電気料金とともに集められる。これを賦課金と呼ぶ。賦課金は、すべての電気使用者から毎月決まった額を徴収する。FITの開始を受けて、国内における再エネ発電設備の導入が飛躍的に加速した。しかし、2014年9月に、九州電力など電力大手5社がFITに基づく再エネの新規受け入れを中断すると発表した。短期間に大量の買い取り申し込みが殺到したため、電力の需給バランスが崩れる危険に直面し、最悪の場合には大規模な停電も想定されるためというのがその理由だ。

受け入れの中断は一部で解除されたが、FITにより再エネ市場が盛んになると期待していた企業や、太陽光パネルを設置したり設置を検討したりしていた個人に大きな衝撃を与えた。こうした事態を受けて、経済産業省新エネルギー小委員会は、メガソーラーの新規認定中止も含めたFITの見直しを検討している。また、資源エネルギー庁は2014年10月に、FITにより再エネ発電事業を行う場合には認定だけでなく連系承諾が必要などとする注意喚起を行った。

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