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「石油依存度」 詳細解説

読み:
せきゆいぞんど
英名:
Oil Dependency Rate

自然界から直接得られる一次エネルギーのうち、石油が占める割合のことを「石油依存度」という。わが国は、高度経済成長期に中東地域などから大量の石油を安く輸入し、1970年代前半には一次エネルギー国内供給の実に76%を石油に依存していた。しかし、1973年の第1次石油ショックと1979年の第2次石油ショックによって、原油価格が高騰して石油の供給が低下したことを機に、石油依存度の低下に努めた。具体的には、石油の代わりに原子力や天然ガス石炭の導入を推進するとともに、太陽光発電など新エネルギーの研究開発に力を入れた。

政府は、2006年5月にまとめた「新・国家エネルギー戦略」で、一次エネルギー供給に占める石油依存度について、2030年までに40%を下回る水準を目指すとする数値目標を設定した。2007年度の一次エネルギー国内供給の状況を見ると、石油が43.9%、石炭が22.1%、天然ガスが17.9%、原子力が10.2%となっており、エネルギー源の多様化により従来よりも低くなっている。しかし、2006年の世界主要国における石油依存度は、米国が42%、英国とドイツが37%、フランスが35%、中国が21%となっており、日本はいまだに高い状態が続いている。また、わが国は石油のほぼすべてを輸入に頼っており、特に中東への依存度が高く、国別ではサウジアラビアからの輸入が最も多い(2007年度)。

同戦略では、目標達成のための具体的な取り組みとして、ほぼ100%を石油に依存してきた運輸エネルギーの石油依存度を80%程度まで下げるため、バイオガソリンの実用化などを進めるとしている。また、太陽光や風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーの開発と導入を促進するとしている。こうした取り組みをすでに行っているのがスウェーデンだ。2020年までに石油不要のシステムをつくることを目指す同国では、自動車燃料用のエタノール生産や木質バイオマス技術の開発に力を入れている。

一方、わが国と同じく石油依存度が4割以上の米国は、6割を超える石油の輸入比率を下げてエネルギー自給率を上げるため、ブッシュ前政権下の2005年に制定したエネルギー政策法で再生可能燃料基準を定めた。これにより米国ではバイオエタノールなどが増産されたが、そのほとんどがトウモロコシであるため、食料との競合が問題となった。こうしたことへの反省もあって、2009年に誕生したオバマ政権は、一次エネルギーにおける太陽光や風力など再生エネルギーの割合を高めることで石油依存度の低下を目指している。わが国もこれらの国々にならい、石油依存度を低くしてエネルギー自給率を上げることが必要だ。

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