2025/03/11 05:20 ウェザーニュース
東日本大震災から14年。大きな災害は命の危険もあるほど甚大な被害をもたらしますが、それは人だけでなくペットも同様です。いざというときに慌てないよう、ペットを守るための防災対策も準備しておくとよいでしょう。
ウェザーニュースで「ペット用の非常食を用意していますか?」というアンケート調査を実施したところ、「用意している」と回答した人は全体の54.1%、「用意していない」という人は45.9%でした(ペットと一緒に暮らしている人を対象)。
地震や洪水、山火事などが発生した際、必要最低限にまとめておきたい荷物のなかで、日頃から備えておくべきペットの備蓄品はどうすればよいかなど、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
もしもの時に、人だけでなく愛犬や愛猫の安全を守るための災害対策を、わん活エバンジェリストで獣医師の田邊弘子先生に伺いました。
いつ起こるかわからない災害への備えとして、日頃から住まいの防災対策をしておくことが重要だと言います。
「飼い主さんの寝る場所や居間、ペットが寝るケージや普段いる場所がつぶれたりすることのないよう、倒れやすい家具を固定したり、落下するおそれがある物は高い所に置かないようにしましょう。
また、外で飼育しているペットの場合は、倒れやすいブロック塀やガラス窓の下、物が落下しそうな場所に小屋やケージを置くのはやめましょう。
災害時にはペットが驚いて脱走することもあります。ケージなどに隙間がないかも点検してください。
さらに、指定の避難所がペット受入れOKか、OKでなかった場合ペットを連れてどこに避難したらよいのかを必ず確認しておいてください」(田邊先生)
住まいの防災対策の他に万が一に備えて用意するものを教えてください。
「災害が起きた時、避難所では人に対する備えはありますが、ペットへの備えは原則的に飼い主さんの責任になります。救援物資が届くのも時間がかかるので、持ち出し用に5日程度はペット用の備蓄品を用意してください。
フードに関しては、1ヵ月分程度をローリングストックとして手元におくことも大事です。
備蓄品は優先順位をつけて用意するようにしましょう」(田邊先生)
▼優先順位1:命や健康にかかわるもの
・5日分以上のフードや水
・療法食、薬
・予備の首輪や伸びないリード
・食器
・ガムテープ(ケージや首輪などの補修に使える)
▼優先順位2:脱走して迷子になった時に必要な情報
・飼い主さんの連絡先
・動物の写真(迷子になった時に探しやすい)
・ワクチンの接種状況
・既往症や健康状態
・かかりつけの動物病院
▼優先順位3:ペット用品
・ペットシーツ
・排泄物の処理用具
・猫砂などのトイレ用品
・タオル、ブラシ
・おもちゃ
・洗濯ネット(猫の場合)
災害が発生した際、飼い主さんがペットと安全を確保する方法を教えてください。
「まずは飼い主さんの安全が第一です。次にペットは突然の災害でパニックを起こすこともあります。興奮して噛みつくこともあるので注意し、飼い主さんは落ち着いて普段のようにペットに声掛けなどして落ち着かせます。犬はリードをつけ、小型犬や猫はケージに入れるようにします。
ガラスの破片や倒れた家具などに注意しながら非常用持ち出し袋を持って、動物受け入れOKの避難所に一緒に避難します」(田邊先生)
避難所での生活での注意点を教えてください。
「避難所の生活におけるペットたちのストレス軽減や、避難時に周囲に迷惑を掛けないようにするには、日頃からのしつけがとても重要です。
避難所では家族以外の人や動物と近い距離で過ごす場合もあるので、日頃から他の人や動物、ケージに慣らし、犬・猫ともに首輪かハーネスとリードを付けられるようにしておきます。避難時にペットに歩いてもらう必要がある場合は、瓦礫等から足を守るために靴を履いて歩く練習もしておくと良いでしょう。
このように災害時にも役立つしつけをしておくと、避難所でのペットたちのストレス軽減にもなりますし、周囲の方へご迷惑をかけることも減らせます。
避難所でのペットを連れた生活では、避難所でのルールを必ず守るようにし、飼い主さん同士が協力して冷静に対応するようにしましょう」(田邊先生)
ペットも大切な家族の一員です。災害が起こった時、飼い主さんと一緒に避難して身を守れるよう、普段から備えをしておくようにしましょう。
参考資料
環境省「備えよう! いつもいっしょにいたいから ペット動物の災害対策」