
「ママタルト檜原の楽しみ日記」第12回 / 撮影=千葉タイチ/撮影協力=国営昭和記念公園
「M-1グランプリ」にて2022年から2年連続で準決勝に進出し、2024年には悲願の決勝進出と着実に認知度を高めているお笑いコンビ・ママタルト。独特な言い回しの長尺ツッコミが癖になるツッコミ担当・檜原洋平さんは、持ち前の陽気な性格とハッピーオーラで笑顔を届けるご機嫌ボーイです。「ママタルト檜原の楽しみ日記」では、そんな檜原さんの生活にある“お楽しみ”を皆さんにおすそ分け!
■第12回「歯医者」
12回目の更新です。
これが一人暮らしの部屋の更新やったとしたらすごい。相当運命のお部屋に出会えたということやろう。
正直僕がお部屋を12回更新するとしたら、クローゼットの奥から未来に飛べたり{しかも未来からクローゼットに戻るのは簡単で、「クローゼットに戻りたい」と思うだけで戻れるようになっている。腹筋を500回しないとクローゼットには戻れないというような厳しめの条件があったら3回目の更新で引っ越している(俺こんなん6歳の時から書いてるねん、今もまだこんなん書いてるとはみっともない)}、俺の願いをなんでも叶えてくれる妖精が洗面所の下の収納スペースをいたく気に入っていて「引っ越さないでピョ。引っ越したら私は別の人間の願いを叶えることにして、お前には死んでもらうっピョ」と言われてる場合くらいやろう。
部屋を12回更新するのはすごい。同じ家賃で気分転換に別の街に引っ越してもいいのにそれもしてないというのは、心に一本芯の通った、気高い魂を持つ人間なことの表れやと思う。
ただ、僕もこのたびエッセイを12回更新したということで、心に一本芯の通った、気高い魂を持つ人間の仲間入りを果たした。
部屋を12回更新したことを自慢している人がいたら「すごいですねそれは。でも僕もこの前エッセイを12回更新しましたよ。今度からそれ言うのやめてください」と声をかけるやろう。
今回のお楽しみは歯医者。
歯医者をお楽しみにあげるとは、僕のお楽しみのストライクゾーンの広さに驚いてひっくり返った読者もいるでしょう。
ひっくり返った読者は1を、ひっくり返らなかった読者は2を読むといいでしょう。
1.
大丈夫ですか!!?
冷凍庫にアイスノンがあるならそれを後頭部に当てて安静にしてください。正直そんなレベルの転倒ではないという方はお医者さんに行ってください。
2.
冷静なあなたはこのエッセイの続きを読む資格があるでしょう。
僕はもともとかなり虫歯を放置するタイプの人間でした。大学生の時、虫歯の治療を途中で勝手にやめてそこから4年ほど放置。日常生活がままならないくらい歯が痛くなったころ、ようやく重い腰をあげて歯医者に行きました。
そこで歯医者さんに「檜原さんは舌の裏にすじがあって、それを切らないと治療をする時に舌を動かせなくて危ないです。まずは舌の裏のすじを切ってきてください。」と言われ、舌の裏のすじを病院に行って切りました。
そしたら舌の可動域が増えて滑舌が少し良くなり、「歯は痛いままやけど、いったん滑舌はよくなったし、ええかあ」と満足した僕はそこからさらに4年放置。ビールを一口飲んだだけで顔面を机にめり込ませるくらい歯が痛むようになりました。
しかしその時も「お酒を飲まんかったら、ええかあ」と放置。するとどんどん虫歯が進行して、左下の奥歯は2本なくなりさらにその手前の歯も欠けて4分の1になりました。
「これではソウドリ(TBSのネタ番組)に出た時、サムネ用の叫びながらガッツポーズをしている写真で、左下の奥歯めちゃめちゃないのがお茶の間にバレてしまうがな」
そこで僕は本格的に歯の治療を決意。
30歳の秋でした。
すぐに近所の歯医者さんを予約して診療を受けました。当時の記憶は定かではありませんが、「治療をするための治療をするための治療が必要です」みたいなことを言われた気がします。
「今までの人生のツケを払わされる日がきたということか。その勝負臨むところよ」
そう意気込んだ僕はそこから1年ほど通院。3回ほど飛びかけましたが、ラストチャンスと思って気合いで最後まで通いました。
全部の虫歯を治療したうえ、お父さんに100万円を借りてインプラントで奥歯を2本入れてもらい、左下の奥歯めちゃめちゃないのがお茶の間にバレてしまわないようにしてもらえました。本当によかったです。
治療を受けていた当時、心の中でずっと思っていたことがありました。僕の通っている歯医者さんの治療が全然痛くないのです。
これはみんなにも僕の歯医者さんを紹介して、本当に全然痛くないのか確認したくなりました。
まずはDEAK(ケビンスの仁木くん。ルームシェアをしていたので当時からディークと呼んでいる)に紹介。「どうやった?」と聞くと「痛くなかったな」と返事がもらえました。
次に真空ジェシカの川北さんからも「痛くなさすぎて笑ったよ」といい返事をもらい、ダウ90000の蓮見くんからも「虫歯になったのが初めてだったんで他がどれくらいか分かんないんですが、別に痛いと思わなかったです」と返事をもらいました。
みんなにそう言われると、僕もあの痛くなさを再び味わいたくなり始め…「虫歯あってくれ!虫歯があったらまたあの痛くない治療が受けられる…!」と願いながら歯医者さんに検診にいく虫歯サイコパスになりました。
今年のゴールデンウィーク前、少し歯が痛い気がしたのですぐさま予約。そして昨日久しぶりに歯医者さんに行ってきました。
前歯に虫歯がありました。
慣用句かと思いました。
前歯に虫歯ができるほどボサッと生きているさま。かと思いました。
しかしさすが僕の通う歯医者さん、全く痛くないうえに15分ほどでキレイに完治させてくれました。これはまた治してもらいたい。
みんなも歯医者さんに行ってみよう!