女装した大柄な家政夫・三田園薫が、派遣された家庭・家族の内情を覗き見し、そこに巣食う“根深い汚れ”までもスッキリと落としていく痛快ドラマシリーズ『家政夫のミタゾノ』。松岡昌宏さんが主演を務める本ドラマは2016年10月にスタートし、第7シリーズまで続いている人気作だ。
2度目の舞台作品となる『家政夫のミタゾノ THE STAGE レ・ミゼラ風呂』では、新たなヒロインとして生駒里奈さんの参加が決定。ミタゾノの相棒となる新人家政婦の荻野千紗子を演じる生駒さんが、本作への初参加が決まった時の心境や、舞台作品への想い、さらに共演した先輩俳優とのエピソードなどを語ってくれた。
『家政夫のミタゾノ THE STAGE レ・ミゼラ風呂』に出演する生駒里奈さん / 撮影=三橋優美子
■座長の松岡さんは「テレビで拝見していた大先輩なので、とても心強い」
――2016年から人気シリーズとして続いているドラマ『家政夫のミタゾノ』をご覧になった時の感想を教えていただけますか?
【生駒里奈】松岡(昌宏)さん演じるミタゾノのビジュアルの印象が強かったのと、ほぼ1話完結なので“観やすいドラマだな”と思ったのが最初の感想です。生活に役立つ知恵を劇中で紹介しているところもおもしろいですし、幅広い世代の方から愛されているドラマという印象ですね。
――松岡さんとは今回が初共演になりますね。
【生駒里奈】一度バラエティ番組で共演させていただいたことはありますが、お芝居でご一緒するのは初めてです。私が小さい頃からテレビで拝見していた大先輩なので、座長の松岡さんの存在はとても心強いですし、お稽古していく中で少しずつコミュニケーションを取れたらいいなと思っています。
【写真】新人家政婦役を演じた生駒里奈さんのキュートなショット満載! / 撮影=三橋優美子
――今回生駒さんが演じるのは、ミタゾノさんの相棒で新人家政婦の役です。どのようなキャラクターになりそうですか?
【生駒里奈】現段階ではまだ台本が完成していないので、具体的な人物像はわからないのですが、“ギャルの家政婦”だと聞きました(笑)。私はこれまでギャルのように振る舞ったことがなかったですし、きっと今後もないと思うので、楽しみながら新しい自分を発見したいです。
――生駒さんの中で“ギャル”はどのような存在なのでしょうか?
【生駒里奈】私の中で“ギャル=仲里依紗さん”で、仲さんのYouTube動画が大好きでよく拝見しているんです。なのでそういった動画を参考に役作りしてみようと考えていて。ほかにもギャルの方の動画はたくさんネットに上がっているので、研究してみようと思っています。
――『家政夫のミタゾノ』を観るとスカッと爽快な気分になるという人も多いですが、生駒さんはストレスが溜まったり落ち込んだりした時はどのように気分転換していますか?
【生駒里奈】私は月イチで断捨離をするので、それがストレス発散になっているのかなと思います。あと気分が落ち込んだ時は、「おばさんになったら気にしなくなる」という母の言葉を思い出すようにしています。今はまだ若いから悩んだり落ち込んだりするけれど、年齢を重ねれば“こんなの大した悩みじゃない”と感じるようになるかもしれない、そう思うとだんだん気分が回復していきます。
――人生の大先輩であるお母様の言葉には説得力がありますよね。
【生駒里奈】そうですね。もう一つ母がよく言っているのは、「他人に何かを言われても、家族や親戚の言葉じゃないから無視をすればいい」という言葉。確かにそうだよなと思って、それ以来、他人に何かを言われても“まぁいいか…”と、あまり気にしないようになりました。
■私にとって舞台の上は一番安心できる場所「舞台でのお芝居が大好きです」
――2024年は『秋田で育てる演劇プロジェクト あきた朗読おとぎ芝居』や『梅棒 19th GIFT「クリス、いってきマス!!!」』など、さまざまな舞台作品に出演されていました。生駒さんにとって“舞台作品”はどういう存在でしょうか?
【生駒里奈】舞台の上が“一番安心できる場所”だと思っています。アイドル時代は自分の中でまだ不安が残る中でステージに立たなければいけないこともあったのですが、俳優として舞台作品に出演することになり、最低でも1カ月はお稽古の期間をいただけると知って安心感を覚えたんです。
しっかりと準備をした状態でお客様の前に立つことができたのが本当にうれしくて。舞台作品に挑戦していく中で、“すごく私の性格に合っているな”と感じるようになりました。
――そう思えるきっかけとなった作品を教えていただいてもいいですか?
【生駒里奈】20歳の時に出演した少年社中・東映プロデュースの『モマの火星探検記』という作品です。しっかりと時間をかけて突き詰めながら練習をすれば“自分はできるんだ”という自信がついて。乃木坂46を卒業するきっかけの一つにもなりましたし、この作品のおかげで今の人生があると言っても過言ではないです。
お客様が上演中にリアクションをしてくださったり、カーテンコールで毎回拍手をしてくださったり、そういうのって大きなモチベーションになるんです。だから私にとって舞台の上は一番安心できる場所ですし、舞台でのお芝居が大好きです。
――最近ご覧になって刺激を受けた舞台作品を教えていただけますか?
【生駒里奈】尊敬している演出家の田邊俊喜さんが手がけた朗読劇『4月の花嫁』がすごくよかったです。女性キャストが二人一組のコンビとなって、結婚を控える花嫁とその友人のウエディングプランナーの役を、出演回ごとにキャストが入れ替わりながら演じるという作品。
朗読劇は言葉だけで感情を伝えなければいけないので、役者の力量が試されるようなところもあるのですが、七木奏音さんの出演回を観てものすごく刺激を受けました。情景や感情などが彼女の放つ言葉から浮かび上がってきたので、自分も表現者として頑張らなくてはとあらためて感じました。
――本作の話に戻りますが、今回全国6カ所での公演が決まっています。地方公演で楽しみにしていることを教えていただけますか?
【生駒里奈】石川と広島は行ったことがない場所があるので楽しみですし、時間があったら金沢にある兼六園に行きたいです。宮城は東北在住の方も来やすいと思うので、ぜひ私の地元の方にもお越しいただけたらいいなと。あと、今年は巳年なので、蛇を祀ってある神社があったら行ってみたいです。
■“室井慎次スイッチ”が入った瞬間に顔つきが変わった「その姿がめちゃくちゃかっこよかったです」
――柳葉敏郎さんが主演を務めた2024年公開の映画『室井慎次 敗れざる者』で、生駒さんは新人弁護士の奈良育美を演じられて話題になりました。あらためてこの作品や育美という役は生駒さんにとってどんな経験になりましたか?
【生駒里奈】まず、柳葉さんと共演できたことが私にとって何よりスペシャルな出来事でした。秋田の大大大スターですし、長年役者として第一線で活躍し続けていて、さらに『踊る大捜査線』というヒット作を関わってこられた方なので、本当にかっこいいなと憧れます。
――現場での柳葉さんの姿で印象に残っていることを教えていただけますか?
【生駒里奈】誰にでも分け隔てなくコミュニケーションを取っていましたし、私に対してもすごく気さくに話しかけてくださいました。撮影当時は親しみを込めて“ギバちゃん”と呼ばせていただいたんですが、お酒が入ると秋田弁全開でお話しされていてお茶目な方だなと思いました(笑)。
そんな柳葉さんの姿は滅多に見られないと思うので、貴重な経験でしたね。和やかな雰囲気を作りつつも、“室井慎次スイッチ”が入った瞬間に顔つきが変わったので、その姿がめちゃくちゃかっこよかったです。
――『室井慎次 敗れざる者』の舞台挨拶の際に、柳葉さんがファンからの感謝の言葉に泣いてしまう姿を拝見して胸が熱くなりました。
【生駒里奈】映画をご覧になった方はわかると思うのですが、柳葉さんが27年間思いを馳せてきた室井慎次という役への責任が少しだけ解かれたのかなと想像しました。本当に偉大な先輩です。
――生駒さんにとって、柳葉さんとの共演は大きなターニングポイントになったのではありませんか?
【生駒里奈】映画『室井慎次』は、柳葉さんをはじめ監督やスタッフさん、共演者の方々が想像以上に命を削りながら撮影していた現場だったので、私にとって大きな作品になったことは間違いないです。
それに『踊る大捜査線』シリーズのファンの方が「おもしろかった」と感想を言ってくださることもうれしかったです。この経験を活かして、今回の舞台でも自分自身の課題をクリアしながら全力で挑みたいですし、『ミタゾノ』ファンの方々に喜んでいただけるよう頑張りたいと思います。
取材・文=奥村百恵
◆スタイリスト:津野真吾(impiger)
◆ヘアメイク:林美由紀
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