春は通勤電車が大混雑「どこに消えるんやろ」「溶けちゃうんだよ」春だけ混むのはなぜなのか?主人公の自問に共感しかない【作者に聞く】

  • 2025年4月30日
  • Walkerplus

春の行方_P001
春の行方_P001 / ふみん(@huuuminging)

人の心の機微を丁寧に描き出す漫画家・ふみん(@huuuminging)さん。商業誌での読切発表に加え、2023年には『春の行方』でpixiv月例賞の優秀賞を受賞した。満員気味の春の通勤電車を舞台に、ふと過去の記憶がよみがえる…。そんな心のひだをすくい取るような作品が、今もじわじわと読者の共感を集めている。

■「春の行方」に込めた、ふみんさんが描く“消えていく感情”の記録
春の行方_P002
春の行方_P002 / ふみん(@huuuminging)
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春の行方_P003 / ふみん(@huuuminging)
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春の行方_P004 / ふみん(@huuuminging)
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春の行方_P005 / ふみん(@huuuminging)


物語の発端は、通勤電車のなかでの何気ない会話。主人公は、新入社員時代に「春だけだよ、こんなに混むのは」と同期に語りかけたことを思い出す。すると同期は「じゃあ、みんなどこに消えるんやろ」とつぶやいた。それを笑って受け流していた主人公だが、年月を経て、その問いがふと心に引っかかる。

作者のふみんさんは、本作の着想について「春は風景が変わり、人の表情にも“演じ慣れていない”ような揺らぎが出てくる。あの独特のそわそわした空気を描き留めておきたかった」と語る。暖かな陽気のなかで希望と不安が交錯し、気づけば春は過ぎて初夏になる。その刹那的な移ろいを“記録”するように、漫画として描き上げたという。

また、「何かを伝えたいというより、春の空気と感情そのものを残したかった」とも話す。読者が春に読むことで季節を惜しみ、あるいは春を思い出せない時期に読むことで記憶を手繰り寄せる… そんな存在であればうれしい、と言葉を添えた。

作中で印象的なセリフ「どこに消えるんやろ」「溶けちゃうんだよ」には、「感情は日々のなかに溶けて、やがて輪郭をなくしていく。でもそれが積み重なって、人は“大人”になっていく」といった想いが込められている。

日常のなかに埋もれていく感情をすくい取り、そっと描く。それがふみんさんの作風だ。別作『息苦しくない日常へ』では、コロナ禍の終息とともにマスクを外すことに戸惑う人々の心情を描き、大きな反響を呼んだ。どちらの作品も「変わっていく日常」と「残る記憶と感情」のあわいを描いている。ぜひ併せて読んでみてほしい。


取材協力:ふみん(@huuuminging)
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