【街でスカウト】人生疲れたので、人間やめます!タヌキになって山に移住すればいいか【作者に聞く】

  • 2025年5月5日
  • Walkerplus

「もう人生終わりにしたいな」と思ったその時、「人間やめるなら、タヌキにならねーか?」とスカウトされた。山に住むタヌキは、減少する一方。そこでタヌキは人間に化け、疲れた人間に声をかけていた。タヌキの減少を人間で補おうとするこがね丸。しかし、タヌキになった人間は...?奈川トモ(@nagawatomo)さんの漫画「お前、タヌキにならねーか?」を紹介するとともに制作のきっかけやこだわりについて話を聞いた。

■「人の心が軽くなるものが描きたい!」余白を残した結末が滲みる
『お前、タヌキにならねーか?』第2話_001
『お前、タヌキにならねーか?』第2話_001 / 画像提供:(C)奈川トモ

本作は漫画投稿アプリpixivで人気を集め、現在8巻まで書籍化。タヌキ界では、人間になりたいというタヌキが増え、山の住人が減っていた。こがね丸は、仲間を増やそうと「疲れた人間」をスカウト。タヌキに化かせると、「とりあえず、たくさん食べてふかふかの毛を生やせ」という。

「水飲み場や狩りの仕方も教えねーと…。超忙しいわ」と、こがね丸。澄んだ空気を吸い、水を飲んでおいしいと感じたのはいつぶりだろう。「食事なんて適当でいい」と、流し込んで食べていたことを思い出した。人生に行き詰まった人々のそれぞれの悩みは、タヌキのこがね丸の手助け(?)でなぜか解決され、みんな人間に戻っていく。

『お前、タヌキにならねーか?』第2話_002
『お前、タヌキにならねーか?』第2話_002 / 画像提供:(C)奈川トモ

奈川さんがキャラクターでこだわっているところは、「作品で扱う動物などは、実際の生態を調べたうえで描いています。タヌキが本当に好きな読者さんが多いので、タヌキ好きの常識となっている『尻尾で感情を表現しない』『なるべく2本足で立たせるシーンは作らない(コマ割りや構図の都合で立ってもらうことはあります)』また、化けタヌキなので、設定上は何を食べても問題はないことをコミックスでも記載しておりますが、『現実のタヌキが死にいたるような危険な食べ物を、タヌキの姿で口にしている描写は避ける』ということに気をつけています。ですが、あくまでフィクションとして扱っていただけるように、現実のタヌキとは少し違うデフォルメを加えるなどして、漫画的に仕上げるようにはしています」(奈川さん)

『お前、タヌキにならねーか?』第2話_003
『お前、タヌキにならねーか?』第2話_003 / 画像提供:(C)奈川トモ

「この漫画を最初に思いついたのは、2018年でした。読み切り作品を作るためにあれこれとプロットを考えていたうちの一つで、小学生のころにタヌキを学校で保護していたことがあり、タヌキを題材にしたものを描いてみたいと思い立ちました。踏み切りを前に命を絶とうとしている人間をタヌキが引き留めるという構図が浮かび、それを物語にしたいと思いました。ただその当時はプロットの段階で面白味を伝えることができず、ボツになってしまいました。2020年に再びこの作品を描いたきっかけは、自分自身がスランプに陥っていたことと、コロナ禍でみんな不安に苛まれていたことが重なったからだと思います」と奈川さんは、制作のきっかけを話す。本作「お前、タヌキにならねーか?」は、人の心が軽くなるものが描きたい!という著者の思いが込められている。

『お前、タヌキにならねーか?』第2話_004
『お前、タヌキにならねーか?』第2話_004 / 画像提供:(C)奈川トモ

とくに気をつけていることは、「励まそうとして価値観を押し付けない、説教臭くならないようには気をつけています。自分もやられると嫌なことなので(笑)。ただ、どんな物事も全員に当てはまることはなくて、人や状況によってほしい言葉や救いになる展開も違ってくるのですごく難しいです。正解のないものに起承転結をつけるので、読み手が好きなように受け取れる、受け取りやすい余白を残せるように気をつけてはいます」と、話す。

『お前、タヌキにならねーか?』第2話_005
『お前、タヌキにならねーか?』第2話_005 / 画像提供:(C)奈川トモ

本作の再ツイートには3.1万のいいねがつく。「初めて読んで楽しんでくださった方、すでに作品を知っていて改めて反応をくださった方、どちらもとてもうれしかったです。とくに後者の読者さんは本当に好きで読み返してくださったり、応援の気持ちを込めて感想を届けてくださっていると思うので、いつも本当に励みになっております。今回もそういった感謝を改めて感じることができました」

『お前、タヌキにならねーか?』第2話_006
『お前、タヌキにならねーか?』第2話_006 / 画像提供:(C)奈川トモ

疲れた人の人生を振りかえると、頑張った軌跡に思わず感動の場面も。日々を頑張る人々は、休日にゆるりと心を休めることも大切。ほっと一息つきたいときに読みたい漫画だ。
本作はpixivや、pixivコミック、マガポケなどでも追って読むことができる。

■取材協力:奈川トモ(@nagawatomo)

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