
庁舎の上層階に展望室を設け、市民のために開放している“お役所展望室”をご存じだろうか?無料開放しているところが多く、意外と全国各地に存在するのだが、「知らなかった」「一度も利用したことがない」という人が多いのも現状だ。
ここで、「“お役所”だから平日の日中だけなのでは?」と不安を抱く人も多いのでは?しかしそこはご安心あれ。実はあまり知られていないが、土日祝日や夜の時間帯も無料開放している展望室があり、週末のおでかけスポットとして活躍したり、夜景を楽しむデートスポットとしての利用価値が高い!今回はそんなすてきな“お役所展望室”のひとつである神奈川県川崎市役所本庁舎にある展望フロアを紹介する。
川崎市役所本庁舎は「高層棟」と「復元棟」から成る / 画像提供=川崎市
■展望ロビーとスカイデッキの2種類がそろう展望フロア
川崎市役所本庁舎は、「高層棟」と旧本庁舎の一部を創建当時の姿で復元した「復元棟」で構成されている。展望フロアがあるのは高層棟の最上階である25階。屋内から眺望を楽しむ「展望ロビー」と、屋外に設置された「スカイデッキ」の2種類がある。
展望フロアから望める景色について、取材に対応してくれた川崎市総務企画局総務部庁舎管理課の担当者に詳しく話を聞いてみると、「展望ロビーからはおもに、北側の東京方面の景色を一望できます。天気がよい日は東京タワーやスカイツリーを見ることができますよ」とのこと。一方スカイデッキからの景観については「東側は臨海部や羽田方面、西側は武蔵小杉方面、南側は横浜方面の景色が一望でき、天気がよい日は、富士山や房総半島を見ることができます」と答えてくれた。川崎市役所本庁舎の周囲に高層の建造物が少ないため、360度遠くまで見渡すことができるのも魅力だ。
頭上を吹き抜ける風を間近に感じることができるスカイデッキ / 画像提供=川崎市
しかし、地元の人たちに好評なのは「遠くの景色でなく、近くの見慣れた風景」なのだという。意外な言葉に興味を持つと、「多摩川の蛇行する流れや、競馬場のレース、頻繁に離着陸する羽田空港の飛行機など、近くの見慣れた風景を上から眺めることで新たな発見が生まれるようで、地元にお住まいの方に好評なんです」と理由を教えてくれた。
展望ロビーは屋内なので荒天時にも見学可能だが、スカイデッキは屋外のため荒天時は閉鎖されることも。しかし晴れた日のスカイデッキの見晴らしと迫力は一見の価値がある。取材担当者は「頭上を吹き抜ける風を間近に感じることができるため、まるで空の中を歩いているかのような気分です」と語った。
屋内にある展望ロビーは天候に左右されず見学可能 / 画像提供=川崎市
■土日祝日もOK!毎日夜間も無料開放!
川崎市役所本庁舎展望フロアは土日祝日はもちろん、年末年始(12月29日~1月3日)を除く毎日9時から21時まで開放している。おすすめの時間帯を尋ねてみると「朝、夜で異なる景色を楽しむことができるのでどの時間帯もおすすめですが、夜景は特に好評をいただいております。見学する方角によって異なる夜景を堪能できるんですよ」という。夜景はやはり鉄板で人気が高いようだが、「空気の澄んだ冬場の午前中がきれいに見えておすすめなんです」とこっそり教えてくれた。季節はまだ先になるが、そう聞くと冬にもぜひ訪れてみたくなる。
【写真で見る】方角によって異なる顔を見せる夜景 / 画像提供=川崎市
■屋上庭園に2024年オープンのカフェ…展望室以外の魅力も!
旧本庁舎の一部を創建当時の姿で復元した復元棟には、旧本庁舎創建当時の市長室を復元した展示室、屋上庭園などがある。屋上庭園は復元棟の3階にあり、ゆっくりと休憩することも可能。また復元棟の1階にはカフェ「UNI COFFEE ROASTERY」が2024年4月に仲間入りし、川崎市の老舗菓子屋とのコラボメニューも出している。復元棟の高い天井や大きな窓を活かした開放感あふれる店内やパラソル付きのテラス席でゆっくりお茶を楽しむのもいいだろう。日没~22時までは本庁舎のライトアップも。復元棟前の床面には、さまざまなイラストが映し出されるので、夜に訪れた際はぜひそちらもチェックして!
屋上庭園も開放されているので立ち寄ってみよう / 画像提供=川崎市
復元された旧市長室を見学することも! / 画像提供=川崎市
“お役所展望室”の魅力は、実はその立地にある。庁舎は県や市の中心市街地に建っているケースがほとんどなので、展望室としての立地は抜群!見晴らしのよさはお墨付きである。そんな極上の景観を無料で望むことができる“お役所展望室”。まだ訪れたことがない人はぜひ一度足を延ばしてみよう。
取材・文=大庭かおり
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