ニコール・キッドマン主演の映画「ベイビーガール」を鑑賞。女性CEOが若きインターンとの刺激的な駆け引きに溺れていく衝撃作!

  • 2025年4月8日
  • Walkerplus

2025年3月28日より全国公開された「ベイビーガール」。スタジオA24とオスカー俳優ニコール・キッドマンがタッグを組み、新しいエロティック・エンターテインメントに挑んだ本作。公開前に試写で観た本作の感想を紹介(以下、ネタバレを含みます)。
映画「ベイビーガール」のメイン写真
映画「ベイビーガール」のメイン写真 / (C) 2024 MISS GABLER RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.


【ストーリー】
ニューヨークで起業し、CEOとして大成功を収めたロミー(ニコール・キッドマン)は、舞台演出家の優しい夫ジェイコブ(アントニオ・バンデラス)と2人の娘と、誰もが羨む暮らしを送っていた。

だが、ロミーはたった一つだけ満たされない渇きを抱えていた。

ある日、出社しようとしたロミーは、飼い主の手を離れて道路を暴走する大型犬に飛びつかれそうになる。すると、若い男が一瞬で犬を落ち着かせ、飼い主へと引き渡す。

彼の名はサミュエル(ハリス・ディキンソン)、ロミーの会社の新しいインターンだった。どうやって犬を静めたのかと尋ねるロミーに、「クッキーを与えた」と答えたあと、ロミーにクッキーを食べるか聞くサミュエル。

その日からサミュエルの存在が気になり、彼から目が離せなくなるロミー。そのあと、サミュエルがインターン向けのプログラムの指導者にロミーを選んだことから、2人きりの面談が行われる。

その席でサミュエルから、あなたは権力欲が強いのではなく、むしろその逆で、命令されるのが好きなはずだと、生意気な口調で指摘され動揺するロミー。

何とか威厳を保とうとしたロミーは、「また面談してもいい」と連絡先を教えて立ち去ろうとするが、サミュエルに止められ、見つめられ、そのままキスを交わし、一層激しく動揺するのだった。
映画「ベイビーガール」の場面写真
映画「ベイビーガール」の場面写真 / (C) 2024 MISS GABLER RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.


■ニコール・キッドマンが年下男性との刺激的な駆け引きに溺れていく役柄に挑戦!
本作の監督を務めたのは、ポール・ヴァーホーヴェン監督の「ブラックブック」(2006年)、トム・クルーズと共演した「ワルキューレ」(2008年)などに俳優として出演し、2019年に「Instinct」(原題)で監督デビューを果たしたハリナ・ライン。

監督がA24とタッグを組んだ「BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ」(2022年)では、人里離れた屋敷に集まった若者たちの惨劇の一夜を描き話題に。

「ベイビーガール」はA24と再タッグを組んだ監督3作目の作品で、第81回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門でワールドプレミアされ、ニコール・キッドマンが女優賞を受賞した。

本作の予告編を最初に観た時、90年代のセックス・スリラームービーを思い出した。エイドリアン・ライン監督の「ナインハーフ」(1986年)やポール・ヴァーホーヴェン監督の「氷の微笑」(1992年)などがセックス・スリラームービーとして有名だが、ハリナ監督はこういった作品を「好きではあるが、90年代のセクシーなスリラー映画の結末を、私は決して好きになれませんでした。女性差別的だからです。ファムファタールは罰せられます。あるいは誰かが死ぬ。そういう結末は退屈です」と語っている。

そんなハリナ監督が、男性の視点で描かれてきた分野に“女性の視点から挑んでみたい”という思いで作ったのが本作なのだそう。
映画「ベイビーガール」の場面写真


ニコール・キッドマンがハリナ監督の「Instinct」を見て連絡をし、監督が書いた「ベイビーガール」の脚本を読んで「これをやりたい」と言ったことから二人はタッグを組むことに。

ニコールはこれまでに数々の難易度の高い役柄に挑戦してきたが、今回の役もこれまたすごい…。キャリアがあっていつまでも美しく、正直もう働かなくてもいいぐらいの資産があるはずなのに、ここまで振り切った作品に挑むことができるニコールを尊敬してしまう。

本作では、愛する夫と子ども、キャリアと名声、すべてを兼ね備えながらも、満たされない渇きを抱える主人公のロミーを演じている。

まず衝撃を受けたのは、ロミーがCEOを務める会社にインターンとして入ってきた若い男性サミュエルとの面談を行なったロミーが、面談終了後に彼とキスをするシーン。

“え?いくらCEOとはいえロミーはセクハラで訴えられない?大丈夫?”と不安になっていると、サミュエルもまんざらではない様子。

とはいえ、ただの年上女性と若い男性の不倫映画ではないところが本作のおもしろいところで、ロミーとサミュエルの刺激的な駆け引きは、予測不能の展開が続き飽きさせない。
【写真】ニコール・キッドマンが演じるのは、年下のインターンと刺激的な駆け引きに溺れていくCEOのロミー
【写真】ニコール・キッドマンが演じるのは、年下のインターンと刺激的な駆け引きに溺れていくCEOのロミー / (C) 2024 MISS GABLER RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.


■イケメン俳優ハリス・ディキンソンとベテラン俳優アントニオ・バンデラスの対峙シーンも見どころ!
サミュエルを演じるのは、「ブルックリンの片隅で」(2017年)や「ザリガニの鳴くところ」(2022年)、「逆転のトライアングル」(2022年)などで注目を集めたハリス・ディキンソン。

「逆転のトライアングル」で、危機的状況の中でも恋人とマウントの取り合い合戦を繰り広げる男性を演じたハリスの演技が印象に残っている人も多いだろう。

本作では、とんでもなく傲慢で自信に満ち溢れた一方で、繊細な優しさも見せるサミュエルを好演している。

インターンなのにCEOのロミーに「ひざまずけ」と命令するなど、挑発的な態度を取るサミュエルにヒヤヒヤしたが、ロミーがそれを望んでいるとわかった途端にホッとした。

何を考えているのかわからないサミュエルが怖くもあるが、ロミーにとっては魅力的な男性なのである。
映画「ベイビーガール」の場面写真


ロミーの夫で劇場演出家のジェイコブを演じたのは、「マスク・オブ・ゾロ」(1998年)、「私が、生きる肌」(2012年)などインパクトの強い役を演じてきたアントニオ・バンデラス。

妻思いで優しい夫ジェイコブを、ロミーがなぜ裏切ってしまうのか最初はわからなかったが、彼女が抱いている欲望や欲求を夫には打ち明けることができないからだと気づいて腑に落ちた。

そして本作の大きな見どころの一つと言えるのが、サミュエルとジェイコブが対峙するシーン。

ロミーとサミュエルの仲を知ったジェイコブが怒りをあらわにし、「マゾヒズムは男性のファンタジーだ」みたいなことをサミュエルに言い放つ場面があるが、それに対するサミュエルの「時代遅れだ」という言葉に痺れた。
映画「ベイビーガール」の場面写真


■自分を解放していくロミーの姿に引き込まれる
序盤で、サミュエルから「ひざまずけ」「四つん這いになれ」とロミーが指図されるシーンで、絶対にロミーは怒るだろうと思っていたら指示に従ったのでものすごく驚いた。

もちろんこれは面接の時にキスをしてしまったために、「(暴露の)電話一本であなたは破滅する」とサミュエルから脅されたという事情もある。だけれど本当は、ロミーがサミュエルのような犬を操れる人に支配されたいという欲望があったのも大きな理由。

サミュエルの挑発に戸惑いながらも、少しずつ自分の欲望に正直になっていくロミーの姿に誰しもが引き込まれるはず。

夫婦間や恋人との間で自分の性的嗜好や欲望を打ち明けられずに悩んでいる人におすすめの1本。ぜひ劇場でチェックしてもらいたい。
映画「ベイビーガール」の場面写真


文=奥村百恵

(C) 2024 MISS GABLER RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

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