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【ネコ漫画】ペットロスのお客さんも多く訪れる芦ノ牧温泉駅。大切な存在に先立たれても、前を向くことができるはず【作者に聞く】

  • 2024年5月27日
  • Walkerplus

「ねこが働く駅」として知られる福島県の会津鉄道・芦ノ牧温泉駅を舞台に、働くねこたちの様子を紹介する「にゃん旅鉄道」。福島中央テレビの情報番組「ゴジてれ Chu!」内で放送されている約1分間の短いコーナーながら、TVerでは4年間で総再生数170万回を突破し、なんと映画も公開された。

「にゃん旅鉄道~さくらの物語~」は、そんな「にゃん旅鉄道」をモチーフにした創作漫画。妹ねこの「さくら」を主人公に、猫たちの日常や実話をもとにしたエピソード、四季折々の美しい風景を、イラストレーターで漫画家のゆきよみさん(@yukiyomi333)が丁寧に描く。

今回は、芦ノ牧温泉駅の歴史について。駅と同い年だという近所のおばあちゃんが、さくらを撫でながら思い出を振り返る。

作者のゆきよみさんに漫画の見どころやお気に入りのコマについて聞いてみた。
■芦ノ牧温泉駅の桜のような、力強いおばあちゃんが描きたかった
駅に手作りの「ぬた餅」(ずんだ餅とも呼ばれる)を作って持ってきたおばあちゃん。猫缶をもらい、食いしん坊のさくらもご機嫌です。笑顔を絶やさないおばあちゃんですが、さくらにあげた猫缶は、本当は亡くなった飼い猫のために購入していたものでした。

今回は「歴史」がテーマです。芦ノ牧温泉駅は間もなく開業100年ですが、その長い歴史と共に生きてきた地元会津の人々を、同時に描けたらいいなと思いました。漫画には、大切な人々に先立たれたおばあちゃんが登場します。辛いことや苦しいことがあっても、心折れずに平気で生きる。そんな芦ノ牧温泉駅の桜のような力強いおばあちゃんを描きたくて、このお話を考えました。

お気に入りのシーンは、手のシミをさくらに舐められたおばあちゃんが笑っているところです。シミをペロリとするさくらとそれを見て笑うおばあちゃんのコマは、食いしん坊の可愛いさくらとおばあちゃんのどっしりとした優しさ、2人の「らしさ」が出ていて気に入っています。どんなことも笑い飛ばせるこんなおばあちゃん、素敵ですよね。また、芦ノ牧温泉駅にはペットロスのお客様も多く訪れると伺っていたので、このおばあちゃんもさくらや駅員さんたちに癒やされているんだろうなと思っています。

モデルというほどではないのですが、今回登場するおばあちゃんは、私の祖母を参考にしています。祖母の手はシワシワで、大きなシミがいくつもありました。芦ノ牧温泉駅の太い桜の幹を見ていたら、ふと、祖母のシワシワの手を思い出したんです。祖母は最後までとても元気で、祖父が亡くなってからもなお、口癖のように「ばばは死ぬことを忘れた、わっはっは」と大笑いしていました。

駅と同じくもうすぐ100歳になるおばあちゃん。しかしその人生を考えれば考えるほど、漫画にするのは苦労しました。長生きするほど「大切な人々が先に旅立つ」という場面を何度も経験しなくてはならないと思うのですが、それでもなお人間は長く生きたいと思うのか?をずっと考えていました。正直、なかなか答えが出なくて…。自分が100歳近くになったらどう思うんだろう?って、自問自答を繰り返しました。ですがこれも、祖母の口癖「ばばは死ぬことを忘れた」がヒントになりました。どんな状況であっても、人間は生きることを諦めたくないものだろうなと。そしてきっと、前を向くことができるはず。そう思えた時にやっと、最後のセリフ「長生きくらべじゃな 桜の木さん」にたどり着きました。

■さくらは天真爛漫、ぴーちは会社の会議に出席してほしいタイプ!?4匹の猫を個性あふれるキャラクターに
また今回の漫画には思い出のワンシーンとして、初代猫駅長の「ばす」が初登場しています。4匹全員が漫画に登場したことを記念して、それぞれをキャラクター化するうえでのポイントをお話しします。

らぶ駅長は温厚でみんなに愛される、「これぞみんなが大好きならぶ駅長!!」をイメージして描いています。ちゃんと描けているでしょうか…?(汗)さくらは、みんなに「可愛い」と言われて育ったために、すっかり「自分は可愛い」と思っている天真爛漫タイプ。ばす駅長は威厳たっぷりで、やっぱり初代駅長はなかなか超えられない。そんな存在をイメージしています。ぴーちは大人しいけど、愛されキャラ。漫画ではさくらに振り回されがちですが、たまに言う一言がズバッと決まる、会社で長引きがちな会議にはぜひ出席してほしいタイプですね(笑)。

長い歴史をもち、多くの人から愛され続ける芦ノ牧温泉駅。だが別れの時はじきに迫っており、駅やさくらにとって大きなターニングポイントを迎えることになる。さくらの成長と会津鉄道・芦ノ牧温泉駅の美しい風景を、これからも楽しみにしてほしい。


取材・文=石川知京

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