
今年も残るところあとわずか。SNSを中心に2023年もウェブ漫画の盛り上がりは衰えず、一年を通してさまざまな作品が話題を呼んだ。津夏なつな(@tunatu727)さんがシリーズとして展開している「医療知識ゼロの人が描いた本格医療マンガ」もそうした漫画の1つだ。作品の見どころとともに、作者の津夏さんに制作のこぼれ話を取材した。
■アイデアのきっかけは「おまじないレベルの医術で本格医療マンガ」
天才外科医「黒川」を主人公に、難手術や病院内での対立といった医療もののテイストを被りながら、その実常識外れな光景が描かれるコメディ4コマ。手術中に定時上がりをしてしまい患者を救えない、ハロウィーンの仮装で患者を楽しませる和やかな光景のはずが、患者は幽霊、医師たちは死神の仮装…といったブラックなネタや常識外れの展開が笑いを誘い、読者からは「残業してくれ」「こんな病院はイヤだ」「全てがヤバい」とツッコミが多数寄せられている。
津夏さんに作品のアイデアについて話を訊くと、「医療知識がまったくない人間がかろうじて知る民間療法や、おまじないレベルの医術で本格漫画を描いたら面白いんじゃないか」という考えが発端になったという。
2021年からSNSで4コマ漫画を発表している津夏さんは、それまで漫画制作はほとんど未経験。シリーズ最初の作品は漫画を描き始めて一か月足らずの時期に描いたこともあり、「画力や構成力が全然足りず上手く表現できないもどかしさがありました」と振り返る。
その後、4コマ制作を重ね1年ほど経った頃に前述の構想で再び医療4コマを描いたところ予想以上の反響が集まり、現在の「医療知識ゼロの人が描いた本格医療マンガ」シリーズに繋がっているという。
そんな津夏さんは、「1000本ノック」と称し、自身のSNS上で毎日新作4コマを発表している。「SNSでタイムラインに流れてくる漫画は、パッと一瞬で読める単発の4コマが向いていると思っています」と話す津夏さんは、「シリーズ作品や続き物の漫画は新たな読者が付きづらい印象があるため、なるべく初めて目にした人でも読みやすい内容にしなければと意識して考えています」と、シリーズ4コマとして描く際の思いを教えてくれた。
取材協力:津夏なつな(@tunatu727)